2006 Fiscal Year Annual Research Report
再生不良性貧血における連鎖解析を用いた疾患感受性遺伝子の同定
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18790648
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
杉盛 千春 金沢大学, 医学部附属病院, 医員 (30422645)
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Keywords | 再生不良性貧血 / ヒト白血球抗原(HLA) / PNH / 相関解析 |
Research Abstract |
再生不良性貧血(再不貧)はアジアに多い代表的な血液難病であるが未だ病態は完全に解明されていない。われわれは、再不貧患者における免疫抑制療法に対する高反応を予測するマーカー、すなわち病態に免疫機序が関わっていることを示唆する因子としてPNH型血球の増加が重要であり、PNH型血球の増加が見られる患者(PNH型血球陽性再不貧患者)群が、T細胞を介した自己免疫異常である一方、PNH型血球の増加の見られない患者(PNH型血球陰性再不貧患者)群が免疫抑制性サイトカイン異常である可能性を示した(C.Sugimori, et al. Blood2006)。そこで、まず過去の報告からその関与が疑われているHLA-DRB1アレルのタイピングを行い、次に頻度の高いHLA-DRB1アレルを保有する患者をPNH型血球陽性再不貧患者群とPNH型血球陰性再不貧患者群に分け、それぞれのHLA領域を対象としてマイクロサテライトマーカーを用いた相関解析を行い、両群間で頻度が大きく異なるマイクロサテライトマーカーを同定することにより、PNH型血球陰性再不貧の疾患感受性候補遺伝子を同定した。 (1).140例の再不貧患者についてHLA-DRB1アレルとPNH型血球を検索した。 HLA-DRB1*1501(33.6%vs12.8%,Pc<0.01)とHLA-DRB1*1502(43.6%vs24.4%,Pc<0.01%)の頻度のみが健常対照群と比べて有意に高かった。同時にPNH型血球を検索したところ、全体での陽性率は66%であったが、HLA-DRB1*1501陽性者はほとんどがPNH型血球陽性であった。一方、HLA-DRB1*1502陽性者はPNH型血球陽性者と陰性者が半々であった。以上から、HLA-DRB1*1501陽性者はT細胞を介した自己免疫異常である一方、HLA-DRB1*1502陽性者はT細胞を介した自己免疫異常と免疫抑制性サイトカイン異常が半々であることが明らかとなった。 (2).55例のHLA-DRB1*1502陽性再不貧患者(PNH型血球陽性33例、PNH型血球陰性22例)についてマイクロサテライトマーカーを用いた相関解析を行った。 HLA-DRB1*1502保有健常人29例を対照とした結果、PNH型血球陰性DRB1*1502陽性再不貧患者ではC1-3-1の293アレルの頻度が有意に高かった(32%vs3%,Pc<0.03)。一方、PNH型血球陽性DRB1*1502陽性再不貧患者では同部位のアレル頻度に差はみられなかった。このことから、PNH型血球陰性DRB1*1502陽性再不貧患者ではC1-3-1近傍のOct-4など10種の遺伝子が疾患感受性遺伝子候補として同定された。
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