2006 Fiscal Year Annual Research Report
成人T細胞白血病発がんにおけるHTLV-I bZIP factorの分子機能解明
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18790651
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
安永 純一朗 京都大学, ウイルス研究所, 助手 (40362404)
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Keywords | HTLV-I / 成人T細胞白血病 / ウイルス発がん |
Research Abstract |
申請者は本研究費によりHTLV-I bZIP factor (HBZ)のATL発がんにおける役割について解析を行った。HBZのノックダウンはATL細胞株の増殖を抑制し、HBZのIL-2依存性T細胞株Kit225への強制発現はIL-2感受性を亢進させることから、T細胞の増殖を促進する作用があると考えられた。HBZ変異体を用いた解析から、その作用は蛋白ではなくRNAの形で発揮されることが示唆された。HBZ RNAはその塩基配列から高度のstem-loop構造をとることが予想され、細胞増殖機能の責任部位であると考えられた。マイクロアレイにてHBZのトランスフェクタントにおける発現プロファイルを解析すると、細胞周期のG1期からS期への移行に機能するE2F-1およびその標的遺伝子群の発現上昇が認められ、増殖促進に関与するパスウェイの一つと考えられた。さらにHBZトランスジェニックマウスを用いた解析では、胸腺細胞の抗CD3抗体に対する反応性亢進および脾臓CD4陽性細胞数の増加を認め、in vivoにおいても細胞増殖作用が裏付けられた。本解析結果はPNASに報告した。 申請者はNOD/SCID/IL2RγcKO(NOG)マウスを使用し、HTLV-Iの初期感染動物モデルを作成した。このマウスの腹腔内に非感染者から分離した末梢血単核球を接種し、その3日後にマイトマイシンC処理したMT-2細胞をHTLV-Iのドナー細胞として接種し感染を成立させた。感染後2-4週後にマウスから回収したリンパ球を解析し、ウイルス感染細胞がポリクローナルに増殖していること、メモリーT細胞が増加していること、ウイルス蛋白の発現は生体内で抑制されていること等、HTLV-I感染者と共通した所見を呈することを見出した。本実験系を用いてHTLV-I初期感染におけるHBZの役割について解析可能である。本研究内容はJ.Virol.に発表した。
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Research Products
(2 results)