2007 Fiscal Year Annual Research Report
特定部位に挿入されたHIV-1プロウイルスによりT細胞増殖分化抑制が惹起されるか
Project/Area Number |
18790670
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Research Institution | Clinical research Center, Nagoya National Hospital. |
Principal Investigator |
藤崎 誠一郎 Clinical research Center, Nagoya National Hospital., 名古屋医療センター・臨床研究センター, 研究員 (50421904)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤崎 誠一郎 名古屋医療センター, 臨床研究センター, 研究員 (50421904)
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Keywords | ウイルス / ゲノム / 遺伝子 / HIV-1 |
Research Abstract |
1.症例1,2について,HIV-1プロウイルスの特徴を把握するため,プロウイルスゲノムの全塩基配列決定を行った。症例1のプロウイルスには塩基GがAへ変異することで出現したストップコドンが多数存在しており,ウイルス産生能を欠失していた。事実,CD4陽性Tリンパ球内のプロウイルス数は92コピー/10^6細胞,細胞活動指数はverylowでありウイルス産生は認められなかった。症例2には,タンパク質の機能を損なう変異は存在しなかったことから,プロウイルスはウイルス産生能を有していると考えられる。実際に,CD4陽性丁リンパ球内のプロウイルス数は757コピー/10^6細胞,細胞活動指数は0.8とウイルス産生能を確認できた。 2.HIV-1プロウイルスが挿入されたヒトゲノムの部位と,リンパ球増殖不良が関係しているのか解明するため,昨年度に引き続きinversePCR法を用いてプロウイルス挿入部位近傍遺伝子の同定を試みた。しかしながら,残念なことにHIV-1遺伝子を含むPCR産物を得ることはできなかった。この原因として,CD4数が症例1は100個/μ1以下,症例2は200個/μ1以下と非常に少ないことが挙げられる。Inverse PCR法は,制限酵素処理および、,イゲーション処理の後に行う精製過程でDNAが大きく損失すると考えられる。よって,今回のようにCD4数が非常に少ない症例では実験に使用可能なDNA量も少なく,プロウイルス挿入部位の同定は不可能であると判断せざるを得なかった。
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