2006 Fiscal Year Annual Research Report
デコイ核酸による炎症性疾患治療用炎症標的遺伝子ベクターの開発
Project/Area Number |
18790691
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Research Institution | Hoshi University |
Principal Investigator |
服部 喜之 星薬科大学, 医薬品化学研究所, 講師 (90350222)
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Keywords | リウマチ / アトピー性皮膚炎 / NFκBデコイ核酸 / 葉酸受容体 / 脂質微粒子遺伝子ベクター / 活性化マクロファージ / 炎症性サイトカイン / 遺伝子治療 |
Research Abstract |
炎症性疾患においては、炎症部位において集積した活性化マクロファージから腫瘍壊死因子(TNF-α)やインターロイキン等の炎症性サイトカインが産生・分泌され、炎症が持続すると考えられる。炎症性サイトカインの発現には、転写因子であるNFκBが細胞質で活性化されて核に移行することが必要である。NFκBデコイ核酸は、NFκBと特異的に結合する配列を含む2本鎖オリゴDNAで、特異的にNFκBと結合して転写阻害作用を持つことから、抗炎症核酸治療薬として期待されている。また、炎症性疾患患者から採取した活性化マクロファージにおいて葉酸受容体が存在することが報告されていることから、我々は葉酸修飾脂質微粒子を調製し、NFκBデコイ核酸を活性化マクロファージRAW264.7細胞に葉酸受容体を介し効率的に遺伝子導入できるかどうか評価を行い、炎症性疾患治療用炎症標的遺伝子ベクターとして使用できるかどうか検討を行った。脂質微粒子の組成として、正電荷脂質3([N(N'N'-dimethylaminoethane)-carbamoyl]cholesterol、Tween80、葉酸修飾polyethylene glycol脂質を用いて修正エタノール注入法により、約170nmの粒子径を有する葉酸修飾脂質微粒子(NP-F)を調製した。そして、NP-Fを用いて蛍光標識したNFκBデコイ核酸を、リポポリサッカライド(LPS)により活性化させたマクロファージ培養細胞に投与し、効率的にNFκBデコイ核酸が取り込まれているかどうかを共焦点レーザー顕微鏡により観察した。その結果、LPSによりマクロファージ細胞を活性化させることで、NP-FはNFκBデコイ核酸を高効率に細胞質に導入できることが明らかとなった。さらにNP-FによりNFκBデコイ核酸を導入したマクロファージ細胞の核内NFκB量を定量した結果、NFκBの核移行が阻害されていることも明らかとなった。以上の結果から、葉酸修飾脂質微粒子は、リウマチ等の炎症性疾患における活性化マクロファージへNFκBデコイ核酸を送達させるための抗炎症核酸医薬品として使用できる可能性が考えられた。
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