2007 Fiscal Year Annual Research Report
アレルギー性疾患の発症に認められる日内変動の分子学的機構解明
Project/Area Number |
18790692
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
小柳 悟 Kyushu University, 薬学研究院, 准教授 (60330932)
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Keywords | アレルギー / 体内時計 / 時計遺伝子 |
Research Abstract |
アレルギー性疾患に関与する機能型ヘルパーT細胞は、産生するサイトカインの種類によってI型ヘルパーT細胞(Th1)とII型ヘルパーT細胞(Th2)とに分類されるが、アレルギー状態ではTh2細胞の割合が増大することが知られている。近年、T細胞に発現するSuppressor of Cytokine Signaling(SOCS)ファミリー分子が、Th1/Th2細胞バランスの制御に重要な役割を担っていることが明らかにされており、特にSOCS5およびSOCS3は、それぞれTh2とTh1への分化に対して抑制的に作用してアレルギー性疾患の発症に深い関わりをもつことが指摘されている。本研究はモデルマウスを対象にアレルギー症状発症の日内変動の制御機構を解明することを目的としており、リンパ球中のSOCS3/SOCS5の発現量比'には有意な日周リズムがあること、およびリンパ球からのサイトカイン産生量を指標にしたTh1/Th2細胞バランスは明瞭な日内変動を示すことを明らかにした。また、Th1/Th2細胞バランスとSOCS3/SOCS5発現量比との対応が認められたことから、SOCS遺伝子の5^'上流非翻訳領域の塩基配列について解析を行ったところ、これら遺伝子上には生体リズムを制御する時計遺伝子の応答配列が複数存在していることが確認された。そこで、時計遺伝子のひとつであるClock遺伝子変異マウスのリンパ球中におけるSOCS3/SOCS5の発現量について検討したところ、Clock遺伝子変異マウスにおいては、これら遺伝子発現の日周リズムが変容していることが認められた。以上の結果から、アレルギー性疾患発症の日内変動には、SOCS遺伝子の発現制御を介した時計遺伝子群の関与が明らかとなり、非線形混合モデルを用いた数理的解析によって、これら遺伝子発現のリズムを予測・診断することが可能になることが示唆された。
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