2006 Fiscal Year Annual Research Report
炎症関連遺伝子のエピジェネティックな発現制御機構の研究
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18790694
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
大保木 啓介 独立行政法人理化学研究所, アレルギー遺伝子研究ユニット, 研究員 (80415108)
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Keywords | マスト細胞 / 肥満細胞 / Bmi-1 / Cdkn2a / ポリコーム遺伝子群 |
Research Abstract |
Bmi1遺伝子がマスト細胞の増殖、分化に与える影響について調べるために、Bmi1 +/-マウスを導入し、自然交配によりBmi1 -/-マウスを得た。これまでの報告と同様、離乳以降の発育遅延と痙攣発作を伴う運動失調、進行性の骨髄低形成を認めた。組織学的な解析によりBmi1 -/-マウスの皮膚と腹腔細胞についてそれぞれ、マスト細胞数、マスト細胞出現頻度を野生型マウスと比較したところ、有意差を認めなかった。一方で胃粘膜のマスト細胞数については、Bmi1 -/-マウスにおいて有意な減少を認めた。マスト細胞の分布する組織において、解剖学的に異なる部位でBmi1遺伝子の要求性に差異のあることが示唆された。遺伝子発現プロファイルの取得に必要な純度の高いマスト細胞を得るため、Bmi1 -/-マウスの骨髄および脾臓から培養マスト細胞の分化誘導をおこなった。Bmi1 -/-培養マスト細胞はこれまでの報告と一致してpremature senescenceと、著しい増殖抑制が認められ、細胞数は野生型の千分の一程度にまで減少していた。使用マウス数を大幅に増やしRNAを取得、遺伝子発現プロファイル解析を行った。Bmi1 -/-培養マスト細胞は野生型と同様アルシアンブルー染色陽性であった。電子顕微鏡像においても培養マスト細胞と同様の形態が観察されたこと、in vivoの組織額的解析をあわせた結果から、Bmi1はマスト細胞の分化系統決定への影響は小さいことが示唆された。培養マスト細胞の増殖抑制の原因を探るため、サイクリンキナーゼ抑制因子Cdkn2a-/-マウスを導入し、自然交配によりBmi1とのダブルノックアウトマウスを作成した。このダブルノックアウトマウスでは、一見Bmi1の表現型とほとんど変わりが無いが、in vitroでの培養マスト細胞の増殖には顕著な改善が認められたため、培養マスト細胞の増殖抑制の主な原因はCdkn2a発現の脱抑制にあると考えられた。
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