2006 Fiscal Year Annual Research Report
クレチン症新生児マススクリーニングで発見された高TSH血症の遺伝子解析
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18790698
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
石井 加奈子 東北大学, 大学院・医学系研究科, 非常勤講師 (90400332)
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Keywords | クレチン症 / 甲状腺 / マススクリーニング |
Research Abstract |
TSH receptor、TTF-2、PAX8各遺伝子のエクソンとエクソン・イントロン接合部をカバーするPCR産物が得られるようにプライマーを設計し、作成した。 一方、当院を受診しているクレチン症新生児マススクリーニング陽性者の中で高TSH血症が持続し、l-T4治療を開始している患者約50人から、同意書を得た後に血液を採取し、末梢血DNAを抽出した。このうち21人の患者のTSH receptor遺伝子について直接シークエンス法にてシークエンスを行った。その結果、21人中2人の患者において、既報告にないアミノ酸置換を伴う塩基置換がヘテロで認められた。以下に2例の詳細を示す。 症例1は、現在3歳の男児。日齢15の初診時fT3 3.65pg/ml, fT4 1.48ng/dl, TSH 11.585μIU/mlと甲状腺ホルモンは正常範囲であったが、高TSH血症を認めた。エコー上甲状腺に異常所見はなかった。生後2ヶ月時もTSHが11.738μIU/mlと高値であったため、l-T4による治療を開始した。この症例において、exon10にアミノ酸置換(R519H)を伴う塩基置換がヘテロで認められた。なお、この症例の妹も軽度の高TSH血症が持続し、生後6ヶ月からl-T4治療を開始している。 症例2は、現在8歳の男児。クレチン症新生児マススクリーニングで陽性であったが、日齢20の初診時はfT3 4.95pg/ml, fT4 1.26ng/dl, TSH 3.572と正常であった。エコー上甲状腺は正常位置に認められた。経過観察を続けたところ、TSH値には3.392〜16.502μIU/mlと変動が認められ、生後1歳6ヶ月時よりl-T4による治療を開始した。この症例において、exon7にアミノ酸置換(A204V)を伴う塩基置換がヘテロで認められた。
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