2008 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子改変NK細胞を用いた、白血病・リンパ腫に対する新たな治療戦略の開発
Project/Area Number |
18790706
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
今井 千速 Niigata University, 医歯学系, 助教 (90419284)
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Keywords | NK細胞 / 遺伝子導入 / 細胞療法 / chimeric receptor / 白血病 / リンパ腫 / IL-2 / 造血幹細胞移植 |
Research Abstract |
前年度に続き、ヒトNK細胞にヒトIL-2遺伝子を導入し、その機能変化について実験回数を重ね検討した。増幅NK細胞はhigh levelの活性化受容体(2B4、NKG2D、NCRp30/p44/p46)を細胞表面に発現していた。遺伝子導入効率は高く(GFP^+70.0%, n=9)、IL-2遺伝子を導入したヒトNK細胞でconstitutiveなIL-2の細胞内発現が観察され、培養上清に比較的少量ではあるが有意なIL-2分泌が認められた。IL-2遺伝子導入NK細胞によるK562細胞株に対する4h-cytotoxicityはコントロールに比較しわずかに高い程度であったが、1週間の共培養ではIL-2遺伝子導入NK細胞で有意な腫瘍細胞増殖抑制を示した。この結果は細胞障害活性の測定前のexogenous IL-2 withdrawalによりさらに顕著となった。遺伝子改変NK細胞をIL-2除去後72時間培養した後で同様の検討を行なったところ、IL-2遺伝子導入NK細胞は細胞障害活性を維持していたが、mock NK細胞では著明な障害活性の低下を認めた。IL-2除去後72時間でのNK細胞のapoptosis誘導は有意にIL-2遺伝子導入細胞で抑制され(アポトーシス細胞57% vs 12%)、7日後のNK細胞生存はIL-2導入細胞で著しい延長を認めた。さらにIL-2遺伝子導入は白血病細胞殺傷後のactivation-induced cell death(AICD)を有意に抑制した(72% vs 22% at 72h)。重要なことに、遺伝子導入と同等のAICDの抑制のためには100単位/ml以上の比較的大量のexogenous IL-2を要することも示され、autocrine/paracrine分泌によるIL-2供給の優位性が示された。以上より、患者への細胞輸注におけるIL-2 withdrawalによるNK細胞の生存低下と細胞障害活性低下を抑制し、より高い抗腫瘍効果を発揮できる可能性が示唆された。さらにIL-2遺伝子導入NK細胞は、全身的副作用を軽減しつつ局所へのIL-2供給できる可能性があり、特に多量の腫瘍浸潤T細胞が存在し得る悪性黒色腫や進行期腎細胞がんなどの患者における治療への応用も考えられる。
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Research Products
(5 results)