2006 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝性脱髄疾患モデルにおける末梢神経病態の解明と治療法の開発
Project/Area Number |
18790715
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
下野 九理子 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (60403185)
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Keywords | 脱髄 / 末梢神経 / シュワン細胞 / Ranvier絞輪 / Krabbe病 |
Research Abstract |
申請者はKrabbe病(GLD)のモデルマウスであるtwitcher (TW)の末梢神経において脱髄が中枢神経の病変の始まりに進行しておこっていること、脱髄の進行した末梢神経では異常な太さを持ち、シュワン細胞と細胞外マトリックス(ECM)が増加していることを見いだしている。 1)末梢神経の切片の作成と免疫染色 日齢45のTWの坐骨神経、三叉神経の免疫染色においては未熟なシュワン細胞のマーカー(GFAP)が増大し、蓄積したECMはAlucian blueで陽性に染色され、laminin, fibronectin, collagenIVなどの成分が増加していた。 2)治療による末梢神経病変の変化 エストロゲン治療を行ったTWでは末梢神経症状の軽減は認めず、組織においてもシュワン細胞の増殖やECMの蓄積の軽減は得られなかった。 3)脱髄-再髄鞘化による末梢神経の機能的変化 Na^+チャンネル,K^+チャンネル,NCPの免疫染色を行い、Ranvier絞輪の構造的変化を観察した。余剰なSchはonion-bulb (OB)を形成し、その突起はRanvier絞輪を覆っていた。さらにNa^+チャンネルはRanvier絞輪に限局することなく、axonに沿って広範に分布を認めた。またBMT後のTWにおいてもECMの蓄積は残存し、OBの形成も認め、さらにはNa^+チャンネルの異常分布も存在した。 上記の結果よりKrabbe病において骨髄移植(BMT)による改善の違いは中枢神経における髄鞘形成細胞であるオリゴデンドロサイトが脱髄の際に減少する一方、末梢神経における増殖するシュワン細胞の性質の違いによると考えられる。これらの末梢神経の特徴は遺伝性肥大性ニューロパチーの病理所見と類似し、BMT後にも残存した。H19年では再髄鞘化によるRanvier絞輪の変化について検討していく予定である。
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