2006 Fiscal Year Annual Research Report
神経栄養因子を用いたリソソーム蓄積症神経変性治療法の開発
Project/Area Number |
18790719
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
桧垣 克美 鳥取大学, 生命機能研究支援センター, 助教授 (90294321)
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Keywords | 脳神経疾 / 脂質 / シグナル伝達 / 病態解明 / 治療法開発 |
Research Abstract |
遺伝性リソソーム蓄積症の一つGM1-ガングリオキシドーシスはリソソーム加水分解酵素β-ガラクトシダーゼの遺伝的欠損により、基質GM1-ガングリオキシドが神経細胞内に蓄積し重篤な神経障害を引き起こす疾患である。リソーム内の基質蓄積から神経細胞障害に至る分子機構は不明であり、有効な治療法は確立できていない。β-ガラクトシダーゼ遺伝子ノックアウトマウスは進行性神経症状を示すGM1-ガングリオキシドーシスのモデルマウスである。マウス脳を用いた解析から、疾患モデルマウス新生児脳ではGM1-ガングリオキシドと神経栄養因子受容体(Trk)との結合が低下し、リン酸化Trkおよび下流シグナルが低下していることを見いだした。このTrkシグナル低下は培養小脳神経細胞でも確認され、神経栄養因子の添加により解消された。一方、神経症状発症後の10ヶ月齢疾患マウス脳では、リン酸化Trkと下流シグナルは亢進し、リン酸化Trkのリソソーム内の蓄積が見られた。Trk受容体はGM1と相互作用することでシグナル伝達を制御しており、これらの結果はGM1蓄積がTrk受容体シグナル異常を引き起こし、神経変性の引き金になっている可能性を示唆する。今後、Trkシグナル異常とGM1-ガングリオキド神経変性機構の関連性についてより詳細な分子解析を行う共に、他のリソソーム蓄積症神経変性におけるTrkシグナルの異常についても検討を行う。
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