2008 Fiscal Year Annual Research Report
多発性嚢胞腎における尿細管上皮細胞極性欠如の分子生物学的機序解明
Project/Area Number |
18790730
|
Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
佐古 まゆみ Wakayama Medical University, 医学部, 博士研究員 (60405454)
|
Keywords | 遺伝性腎疾患 / 多発性嚢胞腎 / CPKマウス / E-カドヘリン / βカテニン / 細胞極性 / PCKラット / エンドサイトーシス |
Research Abstract |
多発性嚢胞腎における病的尿細管上皮細胞の極性欠如の機序解明のため、以下の研究を実施した。 CPKマウスのコロニーを当大学の動物飼育施設において確立したが、実験にもちいるホモマウスの出生が予想される数と比較してきわめて少なく、予定通りの研究の進行ができなかった。そのため、PCKラットを用いて研究を実施し、下記の結果を得た。CPKマウスのコロニーを再構築し、当初の予定の研究中も進行中である。 【目的】E-cadherinとβ-cateninの発現をPCKラット(ヒトARPIKDと相同遺伝子変異を有するモデル)で尿細管部位特異的に検討し、嚢胞形成様式との関連を検討する。 【方法】生後0日、1、3、10、14週と4か月の雄PCKと対照各々5匹の腎連続切片を、E-cadherinとβ-cateninに対する抗体ならびに尿細管部位特異的マーカーで染色し、嚢胞形成様式と比較検討した。E-cadherin量は、ウエスタン法でも評価した。 【結果】正常対照では、すべての月齢で、E-cadherinは、遠位尿細管、集合管で発現が強く、一方、近位尿細管で低いレベルを示した。PCKでも非嚢胞性上皮細胞では同様の発現がみられた。PCKの嚢胞形成は、正常対照でE-cadherin発現の強い部位でより重篤であった。嚢胞性尿細管上皮のE-cadherin発現レベルは嚢胞増大に伴い減弱し、加齢に伴い細胞間接着部位に限局した。β-catenin発現は、E-cadherinと類似の様式を示した。ウエスタン法では、対照と比較しPCKの腎E-cadherinは低下しており、加齢に伴い低下が強くなった。 【結論】E-cadherin/β-catenin依存性細胞制御の破綻がPCKラットの尿細管部位特異的嚢胞形成・増大に関与していることが示された。
|
Research Products
(3 results)