2006 Fiscal Year Annual Research Report
小児1型糖尿病の発症感受性遺伝子の検討ー発症リスクを予測し、早期介入は可能か?ー
Project/Area Number |
18790734
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
田久保 憲行 北里大学, 医学部, 助手 (20306583)
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Keywords | 疾患感受性遺伝子 / 1型糖尿病 / 小児期 / 家系解析 / 伝達不均衡テスト(TDT) / インプリンティング効果 |
Research Abstract |
IDDM1 HLAクラスII領域のDRとDQ遺伝子の候補遺伝子多型解析では、より若年発症、特に5歳未満発症でDR9のホモ接合体(DRBI*0901-DQA1*0301-DQB1*0303)が対照群に比し有意に多く(Pc=0.0363)、高学年や成人発症ではDR4が多いとする既報との相違点として結果を得た。 また伝達不均衡テスト(Transmission diseqilibrium test; TDT)を用いた検討では、DR9のハプロタイプを有する父親から、有意に多く患者群に疾患感受性遺伝子が伝搬される結果を得(Pc=0.0001)、発症には父性由来が関与する可能性が考えられた。 逆に母親からは、疾患抵抗性の可能性を有する遺伝子が非罹患群の同胞に多く伝搬されていたが、サンプル数の問題から有意差を得るまでには至らなかった。さらに症例を増やして検討中である。両親から患児への伝達不均衡のメカニズムについて、諸外国の知見ではMargaritte-Jeanninらカミ、フランス人の1型糖尿病の感受性遺伝子としてDR3/4が多く、DR3は母親から、DR4は父親から有意に伝搬すると報告し、この伝搬不均衡の原因として両親の疾患感受性遺伝子のインプリンティング効果によると推察した。NODマウスの実験から、IDDM2遺伝子とメチル化の関連性が報告され、IDDM2遺伝子の解析を施行した。短い繰り返し配列のクラスIは、患者対照相関解析で有意差は得られないものの、対照群に比し患者群に多く認められ、さらに父性由来が多い傾向を認めた。現在メチレーションPCR法を用い、インプリンティング効果について検討中である。 なお患者群、非罹患群の同胞と対照群が、それぞれHardy-Weinbergの法則を満たす事を確認した。また少ないサンプル数でみかけ上の有意差が生じる可能性を減らすため、P値はアリルの数で補正しPc値で表記した。
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