2006 Fiscal Year Annual Research Report
ウィルムス腫瘍における細胞周期制御遺伝子のエピジェネティック異常
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18790745
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Research Institution | Research Institute for Clinical Oncology, Saitama Cancer Center |
Principal Investigator |
春田 雅之 埼玉県立がんセンター, 臨床腫瘍研究所, 研究員 (80392190)
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Keywords | 癌 / Wilms腫瘍 / 染色体異数性 / 細胞周期制御遺伝子 / エピジェネティックス / DNAメチル化 |
Research Abstract |
腫瘍組織ではがん抑制遺伝子の異常は欠失や塩基変異のみならず,プロモーターのメチル化などのエピジェネティックな変化による発現抑制が多くの遺伝子で生じることが知られている.特に癌細胞増殖と深く関わる細胞周期チェックポイント遺伝子群には変異がまれであることから,エピジェネティック異常による発現抑制が細胞周期異常および腫瘍形成に関与すると考えられる.そこで,本研究においては高2倍性核型を示すWilms腫瘍とスピンドルチェックポイント遺伝子群(MAD1L1,MAD2L1,BUB1,BUB3,BUBR1)やM期制御遺伝子であるRASSF1Aの発現異常に焦点を当て研究を進める。また、高2倍性核型を示すWilms腫瘍の分子生物学的特徴を明らかにすることを試みる. 本年度はBUBR1とRASSF1Aについて解析を進めた.Wilms腫瘍24例でBUBR1のシークエンスによる変異解析を試みたが全ての症例で変異を見いだせなかった.そこでBUBR1の蛋白発現レベルをWestern blotting法により解析したところ正常腎3例では発現がなく,2倍性Wilms腫瘍5例中4例では発現を認め,高2倍性腫瘍では7例中6例に発現を認めなかった.一方,RASSF1Aの遺伝子発現はそのプロモーター領域のメーチル化に依存しているので,MSP法によりメチル化解析を行った.高2倍性腫瘍17例中13例でメチル化PCR産物のみを認めたが,2倍性腫瘍7例では非メチル化PCR産物または部分メチル化PCR産物を認めた.これらの所見より、Wilms腫瘍において細胞周期制御遺伝子のエピジェネティックな発現抑制により染色体異数性が生じるている可能性が示唆された.
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Research Products
(2 results)