2007 Fiscal Year Annual Research Report
ウイルムス腫瘍における細胞周期制御遺伝子のエピジェネティック異常
Project/Area Number |
18790745
|
Research Institution | Research Institute for Clinical Oncology, Saitama Cancer Center |
Principal Investigator |
春田 雅之 Research Institute for Clinical Oncology, Saitama Cancer Center, 臨床腫瘍研究所, 研究員 (80392190)
|
Keywords | Wilms腫瘍 / 染色体異数性 / 細胞周期制御遺伝子 / エピジェネティックス / DNAメチル化 |
Research Abstract |
腫瘍組織ではがん抑制遺伝子の異常は欠失や塩基変異のみならず,プロモーターのメチル化などのエピジェネティックな変化による発現抑制が多くの遺伝子で生じることが知られている.特に癌細胞増殖と深く関わる細胞周期チェックポイント遺伝子群には変異がまれであることから,エピジェネティック異常による発現抑制が細胞周期異常および腫瘍形成に関与すると考えられる.そこで,本研究においては高2倍性核型を示すWilms腫瘍とスピンドルチェックポイント遺伝子群(MAD1L1,MAD2L1,BUB1,BUB3,BUBR1)やM期制御遺伝子であるRASSF1Aの発現異常に焦点を当て研究を進めた。また、高2倍性核型を示すWilms腫瘍の分子生物学的特徴を明らかにすることを試みた. Real-time PCRによるMAD1L1,MAD2L1,BUB1,BUB3,BUBR1のmRNAの発現解析においてすべてのWilms腫瘍で正常腎と比して明らかに発現量が上昇しており,高2倍性核型と2倍性Wilms腫瘍でこれらの遺伝子について発現量に有意な差は認められなかった.しかし,BUBR1の蛋白発現レベルをwestern blotting法により解析したところ正常腎3例では発現がなく,2倍性Wilms腫瘍5例中4例で発現を認め,高2倍性腫瘍では7例中6例に発現を認めなかった.一方,RASSF1AのMSP解析では,高2倍性腫瘍17例中13例でメチル化PCR産物のみを認めたが2倍性腫瘍7例では非メチル化PCR産物または部分メチル化PCR産物を認め,また,半定量PCRにおいて発現とメチル化の相関を認めた.これらの所見より、Wilms腫瘍において細胞周期制御遺伝子BUBR1蛋白量低下およびRASSF1AのDNAメチル化によるエピジェネティックな発現抑制により染色体異数性が生じている可能性が示唆された.
|
Research Products
(4 results)