2006 Fiscal Year Annual Research Report
レット症候群の脳内アミン代謝異常に基づく治療法の開発
Project/Area Number |
18790747
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
井出 秀平 国立精神・神経センター, 疾病研究第二部, 研究生 (80425701)
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Keywords | レット症候群 / Mecp2 / モノアミン |
Research Abstract |
■レット症候群モデルマウスに対する葉酸治療 レット症候群患者の髄液中の5-メチルテトラヒドロ葉酸(5MTHF)が低値であり、Folinic acid(ロイコボリン)経口投与が臨床的に部分的な効果があるとの報告がなされた。私たちは以前、レット症候群モデルマウスの脳内ノルアドレナリン、ドパミン、セロトニン濃度は野生型マウスに比べて有意に低いことをHPLC法により示した。葉酸はモノアミン代謝とも関連がある私たちはレット症候群モデルマウスに対して葉酸投与を試みた。 mecp2欠損マウスのmicrobiological assayで測定した脳内葉酸濃度は野生型マウスに比べて低値の傾向があった(0.53±0.03、0.85±0.19nmol/g-tissue,p=0.06)。次にmecp2欠損マウス3びきと野生型マウス4匹に対して生後2週から6週までロイコボリンを20mg/kgを一日一回腹腔内投与し脳重量と脳内モノアミン濃度を測定して比較した。その結果mecp2欠損マウスの歩行障害やhindlimb claspingとよばれる症状、脳重量、脳内モノアミン濃度はロイコボリンの腹腔内投与によって変化しなかった。われわれの結果では、葉酸投与はレット症候群モデルマウスの治療としては効果的とは言えなかった。脳内葉酸低値の傾向があることは二次的なものであると想像された。 今後は、(1)Mecp2そのもの、または関連遺伝子を標的とした遺伝子治療、(2)われわれがレット症候群の病態に本質的と考えているモノアミン系を標的とした薬物治療の二つの方向でレット症候群モデルマウスを用いた治療方法の研究を進めていく予定である。 ■レット症候群モデルマウスのモノアミン神経系の免疫組織化学 レット症候群モデルマウスの、モノアミン神経核だけでなく、主に前頭葉の皮質内のモノアミン神経線維の免疫組織化学的な研究を行い病態にせまることが目的である。通常のDAB発色後に硝酸銀と塩化金をもちいたコントラスト増強法を用いたところ、神経線維の染色が可能となり、現在研究を進めている。
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] Methyl CpG-binding protein 2 (a mutation of which causes Rett syndrome) directly regulates insulin-like growth factor binding protein 3 in mouse and human brains.2007
Author(s)
Itoh M, Ide S, Takashima S, Kudo S, Nomura Y, Segawa M, Kubota T, Mori H, Tanaka S, Horie H, Tanabe Y, Goto Y
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Journal Title
J Neuropathol Exp Neurol. 66
Pages: 117
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