2007 Fiscal Year Annual Research Report
小児悪性リンパ腫患児におけるGranulysin発現と病態予後との相関解析
Project/Area Number |
18790750
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Research Institution | National Research Institute for Child Health and Development |
Principal Investigator |
北村 紀子 National Research Institute for Child Health and Development, 発生・分化研究部, 共同研究員 (80415603)
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Keywords | Granulysin / 小児悪性リンパ腫 / 全身性未分化大細胞性リンパ腫 / 新規マーカー |
Research Abstract |
Granulysin(Gln)は、T/NK細胞中のTh1免疫に関わるタンパクである。成人の悪性腫瘍症例では、Gln高発現と予後・ガン進行遅延の関連性が示されているが、小児における報告はない。前年度に引き続き、小児悪性リンパ腫組織内Gln発現量を定量RT-PCR法により調べ、病型毎の発現パターンを解析した。全身性未分化大細胞性リンパ腫(ALCL,10例)ではGlnは高発現であり、バーキットリンパ腫(6例)ではほとんど発現が見られず(p<0.001)、ホジキンリンパ腫(6例)では中等度の発現が認められた。また、B前駆細胞性(4例)/T前駆細胞性リンパ腫(14例)、びまん性大細胞性B細胞性リンパ腫(5例)でのGln発現は低く、ALCLとの間に有意な発現レベルの差を認めた(p<0.01)。ALCLにおけるGln高発現の原因を明確にするため、リンパ節に反応性に浸潤しているT/NK細胞のマーカー:CD96とGln発現との関連を調べたところ、有意な相関は見られなかった。また、ALCLの腫瘍細胞はCD30やALKタンパク陽性であるが、GlnとCD30およびALK発現間に相関は認められなかったものの、リンパ腫組織におけるGlnとALKの2重蛍光染色によりALK陽性細胞でのGln発現が認められた。さらに、ALCL由来の細胞株においてもGln発現が認められた。以上の結果よりALCLの腫瘍細胞自身がGlnを発現していることが明らかとなり、小児ALCL病態にGlnが関連している可能性が示唆された。一方で、ALCLは治療抵抗例や症例による臨床病理学的な違いがあり、治療の層別化がが有意義であると考えられる。ALCLにおけるGln発現は平均すると高値であるが、症例による差も大きく、今後、追跡調査により予後との関連性を調べていくことで、新規のマーカーとしてのGlnの役割が期待される。
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Research Products
(2 results)