2007 Fiscal Year Annual Research Report
発達期PCB暴露による行動異常への甲状腺ホルモンとアミン神経系の関与
Project/Area Number |
18790761
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
太田 健一 The University of Tokushima, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (50403720)
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Keywords | 行動異常 / 環境ホルモン / モノアミン / 脳発達障害 |
Research Abstract |
SDラットを用いて、妊娠10日から21日の期間に2.5〜5% (w/v)のエタノールを含む液体飼料を与えた。そのまま出産させ、その仔を離乳まで無処置の里親に育てさせて生後60〜70日齢で実験に供した(Et群)。対照群(PF群)にはエタノールを等カロリーのsucroseで置き換えた液体飼料を与え、無処置群(Int群)には固形飼料を与えた。行動解析では、高架式十字迷路試験においてEt群はopen armでの滞在時間が他の2群よりも有意に長く、オープンフィールド試験でも中央滞在時間が他の2群よりも長い傾向が認められた。これらの結果は、Et群で不安や恐怖の感受性が低下していることを示唆するものである。しかし一方では、Et群で不安様行動の指標の一つであるfreezingが顕著に認められた。よって、本研究ではEt群の不安に関係する行動試験で一致した所見は得られず、Et群で不安の感受性が低下しているか否かについては明らかではなかった。免疫組織化学ではEt群は他2群と比較してdorsal raphe nucleusのserotonin神経細胞数の減少が観察された。serotonin神経系はfreezingとの関係性が高いことが報告されており、Et群で見られたfreeingもserotonin神経細胞の減少が原因となっている可能性が考えられる。しかしながら、高架式十字迷路試験はserotonin神経系との関係に関して一定した結果が得られておらず、serotonin以外の神経伝達物質の関与が示唆される。これらのことから胎生期エタノール曝露による行動異常にはserotonin神経系だけでなく他のアミン神経系の異常も影響していることが考えられる。今後はこれらの実験結果をふまえて、発達期PCB曝露が仔の行動異常に与える影響と甲状腺ホルモン及びアミン神経系の関与についての研究を進める予定である。
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Research Products
(1 results)