2008 Fiscal Year Annual Research Report
早産児・極低出生体重児の出生時高サイトカイン血症が発達に及ぼす影響の検討
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18790762
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
金城 唯宗 Kyushu University, 大学病院, 臨床助教 (70419539)
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Keywords | flow cometen / 極低出生体重児 / サイトカイン / 長期予後 |
Research Abstract |
早産児において、胎児期および出生時の炎症性サイトカインの上昇が脳性麻痺などの神経学的予後に影響することが指摘されている。我々も平成18年より出生時の血清中炎症性サイトカインおよびケモカインと発達の関連を検討してきた。さらに、同時に急性期を過ぎた月齢1の血清中炎症性サイトカインおよびケモカインを測定し、その変化と3歳時の神経学的予後(新版K式発達検査による発達指数)との関連を検討した。対象は、当院総合周産期母子医療センターに入院した在胎24週以降の極低出生体重児で、染色体異常や奇形症候群、出生後月齢1の採血までにステロイドを投与された症例は除外した。対象は18人であった。Flow cytometerを用いて炎症性サイトカインおよびケモカインの測定を行った。 結果は、出生時CXCL8と3歳時新版K式発達検査の姿勢・運動領域の発達指数と負の相関が得られた(相関係数-2.416, p=0.0157, Spearman順位検定)。また月齢1の検討では、CCL2と3歳時の姿勢・運動領域の発達指数と正の相関が得られた(相関係数2.026, p=0.0427, Spearman順位検定)。以上より、姿勢・運動領域の発達に影響を及ぼす危険因子として、出生時CXCL8高値かつ月齢1のCCL2低値であることが示唆された。 近年、ケモカインの神経調節因子としての働きが注目され、CCL2も神経発達への影響が考えられている。今回の検討で、出生時のCXCL8値が高くても、月齢1のCCL2が十分上昇していれば、姿勢・運動領域の発達指数の低下を防ぐ可能性があることが考えられた。
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