2006 Fiscal Year Annual Research Report
コンドロイチン硫酸プロテオグリカンによる神経幹細胞の機能制御
Project/Area Number |
18790768
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Research Institution | Institute for Developmental Research, Aichi Human Service Center |
Principal Investigator |
伊田 みちる 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 周生期学部, リサーチレジデント (80393148)
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Keywords | プロテオグリカン / コンドロイチン硫酸 / 神経幹細胞 / コンドロイチナーゼABC / RNA interference / in vivo electroporation |
Research Abstract |
本研究の目的は、胎児期の大脳形成過程においてコンドロイチン硫酸プロテオグリカンが神経幹細胞に対してどう機能しているかを個体レベルで明らかにし、胎児・新生児期における脳障害治療へ応用することである。本年は、子宮外発生系および子宮内発生系を用いたin vivoの解析を行った。 (1)コンドロイチン硫酸分解酵素を胎生15日ラット胎仔脳室内に投与し、子宮外で生育した胎生17日以降の胎仔の大脳形成における影響を調べたところ、脳重量、細胞数、神経細胞への分化、L1・TAG-1陽性神経線維の走行は対照群と同様であった。胎生後期にコンドロイチン硫酸の発現は急速に増加し、酵素により一時的に消失するものの胎生19日には糖鎖の発現は回復していたことから、一過性な糖鎖の消失は大脳形成に影響を与えないことが分かった。 (2)各プロテオグリカン(ニューロカン、ホスファカン、ニューログリカンC(NGC))に対する抗体を子宮外発生系の胎生15日ラット脳室内に投与して(1)と同様に大脳を解析したが、対照群との違いは見られなかった。 (3)NGCについて、胎生14日マウス脳室内にshRNA発現ベクターおよびGFP発現ベクターを共投与し、子宮内発生系と電気穿孔法により脳室層細胞(神経幹細胞)に対してin vivo RNAiを行った。胎生18日の大脳において、GFP発現細胞(NGC発現抑制細胞)は細胞の移動に関して影響を受けていなかった。培養系における分化能にも差は見られなかった。以上より、胎生初期においてNGCは大脳の形成に影響を及ぼさないことが示された。しかしながら(3)の方法は(1)、(2)と比較して細胞レベルでin vivoでの詳細な解析が可能であり、神経突起の形などの詳細な解析や、他のプロテオグリカンのコアタンパク質、糖鎖合成酵素および硫酸転移酵素についても今後の解析が期待できる。
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Research Products
(4 results)