2006 Fiscal Year Annual Research Report
難治性皮膚創傷に対する増殖因子カクテル療法の臨床応用に関する基礎的研究
Project/Area Number |
18790771
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
安部 正敏 群馬大学, 医学部, 講師 (80302462)
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Keywords | コラーゲンゲル / b-FGF / 創傷治癒 / G蛋白 / TGF-β / α-SMA |
Research Abstract |
生体内において創傷治癒に深く関与すると考えられる、b-FGF、HGF、LPAおよびPDGFについてヒト線維芽細胞含有コラーゲンゲル収縮能を検討した。コラーゲンゲルモデルはゲル製作後、すぐに培養液中のゲルを遊離しその上で増殖因子にて刺激する系と、ゲル製作後、ゲルをディッシュ底につけたまま24時間血清存在下で培養し、その後非血清含有培養液内でゲルを遊離させ、増殖因子にて刺激する系を作成した。これらについて、前者はFloating matrices contraction(FMC)と称し創傷治癒の初期段階、後者はStressed matrices contraction(SMC)と称し創傷治癒の晩期段階のモデルとして認識されている。その結果、b-FGFは濃度依存的にFMCを惹起したが、SMCはおこさなかった。またHGFはゲル収縮を惹起させなかった。一方、LPAはFMCおよびSMCの両者を惹起したが、PDGFはFMCのみを惹起した。次にこれらの相乗効果を検討する目的で、いくつかの増殖因子を同時に添加し、ゲル収縮を検討したところ、b-FGFとLPA、LPAとPDGFの組み合わせによるFMCは、それぞれ単独刺激時よりもゲル収縮が亢進し、この効果はY27632添加でもゲル収縮は完全に阻害されなかった。このほかの増殖因子の組み合わせにおいて、ゲル収縮の有意な変化はみられなかった。さらに創傷治癒に深く関係すると考えられるTGF-βとb-FGFの関連を検討した。両者によるFMCは、それぞれ単独刺激時よりもゲル収縮が亢進することはなかった。他方、線維芽細胞をTGF-β存在下に培養を続けると3〜5日でα-SMAの発現がみられたが、b-FGFを追加することで、その発現の遅延効果がみられた。
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