2007 Fiscal Year Annual Research Report
全身性強皮症のImatinibの抗線維化効果についての検討
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18790779
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
石田 済 Kanazawa University, 医学部附属病院, 助教 (30362007)
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Keywords | シグナル伝達 / 線維芽細胞 / TGF-β / チロシンキナーゼ阻害剤 / Smad2 / 3 / ERK1 / 2 / p38MAPK |
Research Abstract |
全身性強皮症(以下、SSc)は皮膚を含む全身の臓器に線維化を来す疾患で、TGF-βがこの線維化に重要な働きをすると考えられている。非レセプター型チロシンキナーゼc-Ab1はPDGF、EGFなどによりリン酸化を受け活性化するが、最近TGF-βによるc-Ab1の活性化が線維芽細胞特異的に示された。 抗癌剤であるメシル酸イマチニブ(以下、イマチニブ)は非レセプター型チロシンキナーゼ阻害剤で、c-Ab1の活性化を抑制する。近年、イマチニブが肺、腎、骨髄の線維化を抑制したとする報告が相次いでいる。 今回我々は、TGF-β刺激における細胞内シグナル伝達に対するイマチニブの影響を各シグナル伝達系のSmad2/3、ERK1/2、p38MARKのリン酸化にて評価した。 培養した線維芽細胞において、TGF-β刺激により活性化したSmad2/3のリン酸化はイマチニブによる前処置の影響を受けなかった。同様にERK1/2とp38MAPKのTGF-β刺激によるリン酸化も影響を受けていることは確認できなかった。さらにERK1/2とp38MAPKのリン酸化をそれぞれ抑制する阻害剤U0126、SB203850の処理により比較したが、ERK1/2とp38MAPKのリン酸化は阻害剤にのみその活性が抑制された。 以上より、TGF-β刺激による線維芽細胞における抗線維化効果の抑制は、Smad2/3、ERK1/2またp38MAPKのリン酸化含む上位のシグナルを阻害することによるものではなく、未知のシグナル伝達系もしくは、Smad2/3、ERK1/2またp38MAPKのリン酸化より下流のシグナルを抑制することによって起こっていると推察された。 研究最終年度である平成20年度は、平成18年度、19年度で解明できなかったイマチニブのTGF-βシグナル伝達系への抑制の機序についてさらに分析・解明したい。
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