2006 Fiscal Year Annual Research Report
円形脱毛症における調節性T細胞の関与と局所免疫療法との関連について
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18790782
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
伊藤 なつ穂 浜松医科大学, 皮膚科, 助手 (60397403)
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Keywords | 皮膚 / 免疫 / 毛包 / 脱毛 / 調節性T細胞 |
Research Abstract |
初期の円形脱毛症では毛包周囲にリンパ球が密に浸潤しており、毛包のimmune privilege(IP)が破綻されることで自己免疫性脱毛がおこると考えられている。我々は、毛包のIPの維持のためにregulatory T cell(Treg)が重要な役割を演じており、その機能や数の減少がIPの破綻とそれに引き続く円形脱毛症の発症に関与があるのではないかと考えた。またsquaric acid dibutylester(SADBE)による局所免疫療法が治療として有効であるが、その機序についてはまだ不明な点が多く、Tregとの関わりについて検討した。 これまでに治療前の脱毛症患者から皮膚生検によって病変部の検体を得た。さらに局所免疫療法を行った円形脱毛症患者においては、発毛を認めた部位より検体を得た。健常者コントロールとしては、頭部の皮膚腫瘍切除術で得られた検体の健常部位を使用した。検体より凍結切片を作成しCD4とCD25に対する免疫組織化学染色によりTregを同定した。さらにTregの活性化に関与するFoxp3の発現についても同様の検討を行った。 健常人の成長期毛の周囲では、リンパ球浸潤はごくわずかであるがCD4+,CD25+細胞を認めた。一方、円形脱毛症の病変部における毛包周囲にはいわゆるswarm of beesと呼ばれるCD4+T細胞の密な浸潤を認めたが、多くはCD25-細胞であった。局所免疫療法により発毛を認めた部位では毛包周囲のCD4+T細胞は減少していたが、一部にCD4+CD25+T細胞を認めた。すなわち、局所免疫療法を施行することによってTregが浸潤し、自己反応性のT細胞の活性を抑制することで、毛包に対する自己免疫反応を抑制している可能性が示唆された。 今後さらに組織や末梢血におけるTregを中心とした表面マーカーの検討、機能についての評価を行っていく予定である。
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