2007 Fiscal Year Annual Research Report
尋常性乾癬、皮膚浸潤炎症細胞の解析と治療効果の解明
Project/Area Number |
18790785
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
山中 恵一 Mie University, 医学部附属病院, 講師 (70314135)
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Keywords | 尋常性乾癬 / CLA / vitamin D3 / レチノイン酸 |
Research Abstract |
尋常性乾癬等の炎症性皮膚疾患や正常皮膚において皮膚にホーミングするリンパ球には表面抗原であるCutaneous lymphocyte-associated antigen (CLA)が発現しているが、このCLAはP-selectin glycoprotein ligand-1 (PSGL-1, CD162)やCD43が糖鎖修飾を受けた分子であり、血管内皮のE-selectinへの結合能をもち、リンパ球の皮膚への浸潤に重要な役割を果たす。一方、レチノイン酸(RA)や活性型のvitamin D3 (VitD3)は、これまで尋常性乾癬などのT細胞を介する炎症性皮膚疾患に効果的に用いられてきた。しかしながらこれらvitaminのCLAの発現に与える影響については明らかとなっていなかった。本研究ではヒト末梢血より精製したT細胞を用いてRAとVitD3のCLAや他のホーミングレセプターに与える効果を解析した。結果、RAとVitD3はCLAの発現を低下し、E-selectinリガンドとしての活性を抑制した。CLAの合成酵素の一つであるa1,3-fucosyltransferase VIIのmRNAの発現レベルも低下していた。RAは同時に腸管へのホーミングに必要なa4b7インテグリンの発現を上げ、かつL-selectinの発現を抑制した。しかしながらVitD3はCLA以外のホーミングレセプターには影響を与えなかった。マウスにこれらのRAやVitD3を前投与しcontact hypersensitivityを起こすとvitamin処置マウスでは、皮膚炎部位に浸潤するCD4 T細胞数の減少が認められた。以上の結果より、VitD3はCLAの発現を特異的に抑制するため、皮膚へのリンパ球浸潤を伴う皮膚疾患に対して選択的な免疫の調節因子として働くことが分かった。
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Research Products
(13 results)