2006 Fiscal Year Annual Research Report
乾癬における転写因子GLISの働き及びそのNOTCHシグナルへの影響について
Project/Area Number |
18790788
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
中西 元 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (80314673)
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Keywords | 転写因子 / ケラチノサイト / Gli / Notch / Gli-similar protein |
Research Abstract |
1.Glis1ノックアウトマウスを用いた実験 培養細胞を用いた実験ではGlis1の発現はTPAによって誘導されたため、ノックアウトマウスの皮膚にTPAを塗布し、その表皮の肥厚の程度について検討したが、wild typeのマウスとの違いはなかった。また、表皮の角化細胞の遊走、増殖の違いがないか、ノックアウトマウス、wild typeのマウスそれぞれに人工的な創を作成し、治癒過程を検討したが、両者の相違は認められなかった。さらに、Glis1が毛包に発現しているという報告があったgで、マウスの毛を抜き、毛包の再生過程をノックアウトマウスとコントロールとで比較するも、やはり差を認めなかった。以上の結果より、Glis1のみの欠損マウスでは皮膚における表現系の差はなく、今後、Glis1のin vivoの機能を調べるためには、別のマウスモデルで検討する必要があると考えられた。 2.Jagged1のヒト皮膚の発現の検討 Glis1高発現細胞を用いたDNA microarrayの結果より、Glis1高発現細胞ではコントロールの細胞と比較しJagged-1の発現が減少していることが分かったため、Glis1が高発現している尋常性乾癬の皮膚組織においてJagged1の発現が減少しているかどうかを検討した。予想された結果と異なり、乾癬の表皮ではJagged-1は正常表皮と比較して高発現していることが、免疫組織化学、Western blotsを用いた実験より分かった。さらに、mRNAレベルではJagged1は乾癬皮膚、正常皮膚組織と違いがないことより、転写後の修飾によってJagged1タンパクの発現の差が生じることが予想された。以上の結果より、少なくともGlis1が転写因子として直接Jagged1のmRNAレベルでの発現を調節しているとは考えにくいと思われた。
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