2007 Fiscal Year Annual Research Report
乾癬における転写因子GLISの働き及びそのNOTCHシグナルへの影響について
Project/Area Number |
18790788
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
中西 元 Okayama University, 医学部歯学部・附属病院, 助教 (80314673)
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Keywords | 転写因子 / ケラチノサイト / Gli / Notch / Gli-similar protein |
Research Abstract |
1.Glis1ノックアウトマウスを用いた実験 前年度はGlis1ノックアウトマウスとwild typeのマウスを用いて、TPA塗布による表皮の肥厚の程度、創傷治癒の程度、毛包の再生の違いなどについて調べたが、いずれの実験においてもGlis1ノックアウトマウスとwild typeのマウスとの違いは認めなかった。乾癬表皮ではGlis1の発現が亢進しJagged-1の発現が減弱していることから、Glis1ノックアウトマウスとwild typeのマウスの表皮においてJagged-1の発現に違いがあるのではないかと考え、今年度は、それぞれのマウスにおけるJagged-1の発現を調べた。しかし、Jagged-1の発現は、Real-Time PCRを用いてmRNAを調べても、Western Blotや免疫染色を用いてJagged-1の発現の違いを調べてもノックアウトマウスとwild typeのマウスの表皮において違いはみられなかった。Glis1ノックアウトマウスでは、Glis2あるいはGlis3など他のGlisによって機能が代償されている可能性が考えられた。 2.抗Glis1抗体を用いた実験 現在までに有用な抗Glis1抗体は確立されていないため、皮膚を含めた組織におけるGlis1タンパクの発現については全く分かっていない。そこで、共同研究者のJetten博士からウサギ抗Glis1抗体を分与してもらい、まず、Glis1タンパクを認識できる抗体として有用かどうか確認した。はじめにGlis1を強制発現させた培養細胞の抽出液を用いてwesternblotを行ったところ、培養細胞に強制的に発現させたGlis1は検出できた。次に、皮膚における内在的なGlis1を検出できるか調べるために、Glis1ノックアウトマウスを陰性コントロールとして、wild typeのマウスの皮膚の凍結切片あるいは抽出タンパクを用いて、免疫組織染色とwestern blotを行ったが、いずれもGlis1タンパクと思われる明瞭なシグナルを認めなかった。すなわち、作成された抗Glis1抗体は、皮膚におけるnativeのGlis1を検出できる感度では使用できないことがわかった。さらに、市販されている抗Glis1抗体に関しても同様に行ったが、やはりnativeのGlis1を検出できる感度では使用できないことがわかった。
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