2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18790789
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
白藤 宜紀 Okayama University, 医学部歯学部・附属病院, 助教 (90423285)
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Keywords | デフェンシン / 抗菌ペプチド / メタロβ産生緑膿菌 / レボフロキサシン |
Research Abstract |
デフェンシンは3-4kD、3組のジスルフィド結合を持つ抗菌性のペプチドであり、一般細菌のほか、真菌やウイルスに対してもその活性を有する。哺乳類で発現しているデフェンシンは、αデフェンシンとβデフェンシンに大別され、ヒト皮膚においても、ヒトベータデフェンシン(HBD)-1〜HBD-4の4種のデフェンシンが発現している。これらの優れた作用よりデフェンシンの臨床応用、とりわけ多剤耐性菌に対する治療薬として単独、または多剤との併用による抗菌活性の発揮が期待されている。しかし、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌に対する研究報告はいくつか見られるものの、それに続いて近年大きな問題になりつつあるメタロβラクタマーゼ産生緑膿菌に対する抗菌活性の検討は、これまでごくわずかしかなされていない。また、いずれの病原体に対しても、多剤との併用時の効果をみた報告は無い。そこで我々は、乾癬患者の皮膚からHBD3のクローニングを行い、pET28a expression systemを用いてrecombinantHBD-3(rHBD3)を発現、HPLCにより精製を行った。我々のrHBD-3はメタロβラクタマーゼ産生緑膿菌に対し、臨床より分離された緑膿菌に対するのと同等の抗菌活性を示した。また、デフェンシンは単独のみならず、多剤との併用による抗菌作用も注目されている。その観点より、rHBD-3とレボフロキサシンの併用時の効果についても測定したが、レボフロキサシン単独投与時と比較して有意差は無かった。しかし、他系統の抗生物質との併用時の検討は未だなされておらず、今後さらなる検討を続けていく予定である。
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