2008 Fiscal Year Annual Research Report
食物アレルギーにおけるアレルゲンの同定、アレルゲンの体内動態の解析についての検討
Project/Area Number |
18790796
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
猪又 直子 Yokohama City University, 附属病院, 准教授 (20347313)
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Keywords | 食物アレルギー / アレルゲン / 花粉症 / 口腔アレルギー症候群 / 蕁麻疹 / 交叉反応性 / モモ / 小麦 |
Research Abstract |
本研究は、近年注目される食物アレルギーの抗原同定及び病態解明により診断や治療法を開発することを目的とする。 1)食物アレルゲンの解析 : (1)花粉アレルギーに合併する、植物由来食品による口腔アレルギー症候群(Oral allergy syndrome : OAS) 前年度までに、植物由来食品によるOASに関与する花粉を特定したので、本年度は原因食物別の中から重症化する頻度が地較的高いモモについてアレルゲン解析を進めた。モモOAS20例を対象にして、モモのリコンビナント抗原rPru p1、3、4に対する特異的IgE抗体測定(CAP)及びイムノブロット(IB)を施行した。蕁麻疹や血圧低下を伴う6例中1例はCAPでrPru p3が陽性であったがrPru p1、4は全例陰性であった。その6例中3例はIBで15〜50kdの範囲にバンドを検出した。モモOASでは口腔咽喉頭症状のみが現れる例ではPru p1、4が原因抗原となる傾向があるが、蕁麻疹や血圧低下合併例ではそれらの関与は低く、欧州で重症例にしばしば同定されるPru p3、またはその他の抗原の関与が示唆された。現在、本邦の重症例に特異的な抗原を同定中である。 (2)重症例のアレルゲン解析 : キウイ、キユウリ、ダイズ、ソバ、ナッツ類など複数の食物アレルゲン解析を実施した。 2)食物摂取後の食物アレルゲン血液中濃度の解析 小麦による食物依存性運動誘発アナフィラキシー(Food-dependemt, exercise-hlduced amaphylaxis : FDELA)の主要抗原であるグリアジンの血液中濃度を測定し、運動や解熱鎮痛薬による抗原吸収への影響を解析した。4例において解析した結果、運動やアスピリンによりグリアジン血液中濃度の上昇がみとめられた。さらに、NSAIDsの種類によって、グリアジン血液中濃度の上昇の程度や症状誘発率が異なることが示唆された。今後、食物アレルギーに及ぼす薬剤の影響をさらに解析し、本症に影響を及ぼしにくい薬剤について患者へ情報提供できるようにしていく予定である。
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