2006 Fiscal Year Annual Research Report
Wnt proteinによる毛包再生とそのメカニズムの解明
Project/Area Number |
18790801
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
王寺 幸輝 奈良県立医科大学, 医学部, 助手 (50343421)
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Keywords | Wnt / 再生医学 / 毛包 |
Research Abstract |
Wnt-10bは皮膚上皮細胞の増殖・分化に直接作用し、それはβ-cateninを介したシグナル系(canonical pathway)であることをこれまでに明らかにしてきた。そこで、本年度はWnt-10bの発毛への関与を解析し、マウスモデルによる発毛再生を試みた。 まず、Wnt-10bをCOS細胞に遺伝子導入し、大量に調製できる生産プロセスを構築し、得られたWnt-10bの活性をin vitroで確認した。次に、発毛促進効果を調べるため、ヌードマウス(BALB/C-nu/nu)を用いて以下の手技により発毛促進効果の検討を行った。 (1)Wnt-10bと皮膚上皮細胞、毛乳頭細胞を含む細胞懸濁液をグラフトチャンバーを用いてhair reconstitution assayにより評価 (2)Wnt-COS細胞と皮膚上皮細胞、毛乳頭細胞を含む細胞懸濁液をグラフトチャンバーを用いてhair reconstitution assayにより評価 (1)および(2)のどちらの手技においてもWnt-10bを導入した場合、顕著な発毛促進効果が得られた(研究発表1参照)。即ち、Wnt-10bは毛包形成段階に非常に重要な役割を果たしていることが示唆され、in vitroで得られた結果を考慮すると、Wnt-10bは皮膚上皮細胞の分化誘導および毛包形成を有意に促進させることから、発毛再生において重要な因子であると考えられた。 来年度、さらにWnt-10bシグナルを受けた細胞がどのような細胞であるかを特定し、その作用機序を経時的に調べることで、Wnt-10bによる発毛再生のメカニズム解明を目指す。
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