2006 Fiscal Year Annual Research Report
皮膚悪性腫瘍に対する新規サイトカイン療法の探索研究
Project/Area Number |
18790803
|
Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
佐藤 篤子 自治医科大学, 医学部, 研究員 (50382916)
|
Keywords | 腫瘍免疫 / インターフェロン / NK細胞 |
Research Abstract |
IFN-λは2003年報告された新規サイトカインでType I IFNに類似した構造をもち、抗ウイルス効果をもつことが知られている。平成18年度において以下を明らかにした。マウスメラノーマ細胞B16にIFN-λを一過性に過剰発現させると、Rb^<(ser780)>脱リン酸化、p21の発現上昇を認め、ルミネッセンスを用いたカスパーゼアッセイでcaspase3/7の有意な上昇を認めた。IFN-λはin vitroで細胞周期停止とアポトーシスをひきおこすことがわかった。さらに、マウス生体内で腫瘍局所に一過性にIFN-λを過剰発現させるとmockと比較し皮下、肺、肝転移癌の増殖を有意に抑制した。そこでIFN-λの抗腫瘍効果の免疫担当細胞を明らかにするために、in vivoでanti-CD4、anti-CD8、asialo GM1抗体を投与しdepletion実験を行った。その結果、NK細胞depletion群においてIFN-λの抗腫瘍効果は打ち消され、NK細胞を介した抗腫瘍効果であることが示された。IEN-λに暴露された肝リンパ球は、FACS解析でNK細胞の分画が顕著に増加していた。これらIFN-λ暴露NK細胞はcolon26細胞に対して有意なkilling activityを示した。さらに、in vivoにおいてルシフェラーゼ遺伝子を導入したLuc-colon26細胞を用いて作成したマウス肝転移モデルへ、IFN-λ治療前後でasialo GM1抗体投与を行い、control IgG投与群とその腫瘍増殖をバイオイメージングで比較した。結果、IFN-λの抗腫瘍効果はマウス肝転移モデルにおいてもNK細胞が重要であることが示された。これは宿主腫瘍免疫においてIFN-λがNK細胞を誘導する有効な手段になる可能性を示唆するものであり、次年度以降はさらにそのメカニズムについて研究する予定である。
|