2007 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト頭部皮膚由来毛包幹細胞の分離培養と末梢神経、脊髄損傷部の再生能の確認
Project/Area Number |
18790804
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
天羽 康之 Kitasato University, 医学部, 助教 (10306540)
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Keywords | 幹細胞 / 再生医療 / 毛包 / 末梢神経 / 中枢神経 |
Research Abstract |
我々は、今までの実験で神経系幹細胞の重要なマーカーとなるclass VI中間径フィラメントnestin遺伝子のプロモーターを用いたGFP遺伝子導入トランスジェニックマウスを作成し、皮膚毛包幹細胞にnestinが強発現していることを見い出すと共に、皮膚毛包から摘出した毛包幹細胞が神経細胞・クリア細胞・角化細胞等に分化することを明らかにした。また、毛包幹細胞をマウスの切断坐骨神経及び脛骨神経間へ移植した場合、末梢有髄神経の再生を確認した。さらに脊髄損傷部への毛包幹細胞移植により、運動機能をも改善することが確認された。これらの事実から、多分化能を有する毛包幹細胞の再生医療への応用の可能性が示唆された。 今回の研究期間の実験では、ヒト頭部毛包における毛包幹細胞の分布を明らかにし、毛包幹細胞の分離培養に成功した。ヒトの頭部毛包における毛包幹細胞もマウスとほぼ同様の分布を示す。毛包脂腺付着部の毛包幹細胞領域には、ネスチンを強く発現し、ケラチン15陰性の多分化能を有する毛包幹細胞が分布す毛包バルジ領域には、ケラチン15陽性、ネスチンを弱く発現するケラチノサイトの前駆細胞が分布する。ヒト毛包ら分離したネスチンを強く発現し、ケラチン15陰性の毛包幹細胞は神経細胞、グリア細胞、ケラチノサイト、平滑筋細胞に分化した。さらに多分化能を有するヒト頭部皮膚由来毛包幹細胞をヌードマウスの切断した坐骨神経間に移植したところ移植しないものがグリア〓痕となって軸索がほとんど再生しないのと比較して有意に損傷部の軸索の再生が促進され、神経機能も回復することを確認した。ヒト頭部皮膚由来の毛包幹細胞は末梢神経損傷部の修復に有用である可能性が高いと考えられる。
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