2007 Fiscal Year Annual Research Report
自己免疫疾患の治療標的としての長寿命形質細胞の解析
Project/Area Number |
18790807
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
高江 雄二郎 Keio University, 医学部, 助教 (00306367)
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Keywords | 免疫学 / 自分抗体 / 抗体産生細胞 / 長寿命形質細胞 |
Research Abstract |
本研究の目的は、天疱瘡モデルマウスを用いて、自己免疫疾患の免疫抑制治療への抵抗性の原因の一つと考えられる長寿命形質細胞を単離し、その表面高原、遺伝子の解析をすることにより、持続的な抗体産生そして長寿命の機序を明らかにすることにある。さらに特異的な細胞表面マーカーを同定し、それをターゲットとした治療法の確立を目指す。 B細胞を特異的に除去する抗マウスCD20抗体(以下MB20-11)を発症前の天疱瘡モデルマウスに投与し、肉眼的にも血清学的(組換えDsg3蛋白を抗原としたELISA法)にも天疱瘡の発症が完全に抑制されることを示した昨年度に引き続き、今年度は発症後のモデルマウスにMB20-11を投与し、その効果を評価した。2週毎にMB20-11を投与したマウスは、コントロールマウスに比してDsg3に対する抗体価は、投与2週間後で約60%、4週間後で約40%となり、その後は抗体価の低下は見られなかった。肉眼的には、MB20-11を投与したマウスの脱毛・びらんの改善は認められなかった。以上の結果より、抗Dsg3抗体の約40%は、B細胞を除去しても維持されていることになり、すなわち長寿命形質細胞によって産生されている抗体であると考えられた。次にMB20-11を投与したマウスの脾臓・骨髄・リンパ節より、抗体産生細胞数をELISPOT法にて計測した。しかし、いずれの臓器においても抗体産生細胞を検出することができなかった。コントロールマウスの抗体産生細胞数も、脾臓においても0.05%程度しかなく、長寿命形質細胞の絶対数が非常に少ないことが推測された。 長寿命形質細胞の単離と同定を行うことが出来なかったが、間接的ではあるものの、その存在を確認することはできた。長寿命形質細胞、は、治療に難渋する天庖瘤の原因の1つであり、その追究は、新しい自己免疫抑制治療の開発につながり得ると考える。
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