2006 Fiscal Year Annual Research Report
難培養性皮膚常在細菌の培養技術の確立と同定および代謝系の解析
Project/Area Number |
18790808
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
出来尾 格 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (80338128)
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Keywords | 皮膚科学 / 微生物 / 細菌 / 生化学 / 代謝測定 |
Research Abstract |
1.皮膚常在細菌叢に含まれる新規種の絞込み 培養のターゲットとする新規種は、研究開始当初には「β-Proteobacteriaに属する細菌群」としていた。培養条件の検討にあたり具体的に属レベルまで絞り込む必要があるため、まずこれまでに集積した皮膚常在細菌叢の分子生物学的な解析(T-RFLP法)の結果を詳細に検討した。13例の健常人と10例のアトピー性皮膚炎患者のデータを検討した結果、皮膚常在細菌叢として高率に存在する新規種として、健常人に多く検出されるDietzia maris、患者に多く検出されるStenotrophomonas maltophilia、両方に多く検出されるMethylophilus属、の3種が明らかになった。これについて、論文「Characterization of skin microbiota in patients with atopic dermatitis and normal subjects using 16S rRNA gene-based comprehensive analysis」を作成し、投稿した。 2.皮膚常在細菌叢に含まれる新規種の培養同定 絞り込んだ新規種に適した培養条件を検討する前段階として、TS培地(好気培養)、EG培地・BL培地(嫌気培養)を用いて、12例の健常人のサンプルについて綿密に培養を行った。TS培地にて赤褐色のコロニー2個について16S rRNA遺伝子の塩基配列を解読したところ、Dietzia marisと同定できた。これより、D.marisが実際に健常人皮膚に存在し、TS培地にて培養可能であることが示された。しかし培養法での検出率は分子生物学的検出法に比べ低く、その理由については今後の検討が必要であると考えられる。一方、Stenotrophomonas maltophiliaとMethylophilus属についてはまだ培養に成功しておらず、更なる試行錯誤が必要であり、培地の組成等の培養条件を変動させて分離培養を試みる計画である。
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