2007 Fiscal Year Annual Research Report
難培養性皮膚常在細菌の培養技術の確立と同定および代謝系の解析
Project/Area Number |
18790808
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
出来尾 格 Keio University, 医学部, 助教 (80338128)
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Keywords | 皮膚科学 / 微生物 / 細菌 / 生化学 / 代謝測定 |
Research Abstract |
1.皮膚常在細菌叢に含まれる新規種の絞込み 平成18年度までの皮膚常在細菌叢の分子生物学的な解析(T-RFLP法)による結果より、皮膚常在細菌叢として高率に存在する新規種として、健常人にはDietzia marisが、アトピー性皮膚炎患者にはStenotrophomonas maltophiliaが有意に高頻度で検出されることが初めて明らかになり、アトピー性皮膚炎における皮膚微生物叢の構成が、ブドウ球菌属以外にも特徴を持つことが明らかになった。また、健常人・アトピー性皮膚炎患者の両方にMethylophilus属とStreptococcus spp.が高頻度に検出されることが明らかになったが、これも新知見であった。平成19年度は、これについて論文を作成・投稿し、Journal of Medical Microbiology 誌にアクセプト・掲載された。 2.皮膚常在細菌叢に含まれる新規種の培養同定 平成18年度までの解析により、分子生物学的な解析でその存在が示唆されたD、marisを健常人より分離培養することに成功した。平成19年度は、分離培養に用いたTS培地を用いて、カルチャーコレクションより入手した同菌種の標準株(環境由来)の培養を試みたところ、同様の増殖性を示し、同様のコロニー性状および糖分解性を示した。このことから、ヒト由来のD、marisは環境由来のD、marisと同等のものであり、ヒトの細菌株は環境由来であると推測された。一方、分子生物学的な解析で存在が示唆されたS. maltophiliaとMethylophilus属については、種々の培養条件下で培養を試みたものの成功せず、更なる試行錯誤が必要であると考えられた。
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