2006 Fiscal Year Annual Research Report
マスト細胞機能を制御する転写調節因子の解析とアトピー性疾患への関わり
Project/Area Number |
18790810
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
中野 信浩 順天堂大学, 医学研究科, 助手 (30420839)
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Keywords | マスト細胞 / 転写調節因子 / アトピー性疾患 / 自然免疫 |
Research Abstract |
本研究では、マスト細胞の未解明の機能を明らかにすることで様々なアトピー性疾患の成立機序に関する新たな知見を得ることを目的に、マスト細胞機能を制御する転写調節因子に焦点を当てた解析を行っている。 1.マスト細胞によるIL-12産生とその生理的意義 IL-12はp40とp35のサブユニットからなるサイトカインであり、T細胞やNK細胞からのIFN-γ産生誘導およびTh1分化誘導に重要である。主要な供給源としてマクロファージと樹状細胞が知られている。本研究において、マウス骨髄由来培養マスト細胞(BMMC)はIFN-γ刺激によりp40産生に必須の転写調節因子ICSBPを発現し、IFN-γ/LPS刺激でIL-12を産生することを明らかにした。また、マスト細胞欠損マウス、マスト細胞欠損マウスに野生型BMMCまたはp40欠損BMMCを移入したマウスを用いた急性腹膜炎モデルによる解析から、マスト細胞は細菌感染時における重要なIL-12供給源の一つであり、IFN-γ産生誘導を介した好中球活性化を通じて細菌の排除および宿主の生存に寄与していることを示した。本研究成果は雑誌論文として発表した。 2.Notchシグナルがマスト細胞分化に与える影響 細胞膜貫通型レセプタ-Notchは、リガンドと結合すると細胞内ドメインが切り離され核に移行し転写活性化因子として働く。本研究において、BMMCおよびマウス腹腔マスト細胞表面上にNotch1、2が発現していることを明らかにした。分化途中のBMMCにNotch1細胞内ドメインを過剰発現させると、単球系細胞に特徴的なCD11b、F4/80、CD80等を発現する細胞集団が現れた。Notch2細胞内ドメインではこの現象は見られなかった。今後、マイクロアレイ等によるNotch制御下遺伝子の解析、in vivoにおける生理的意義の解析を行っていく。
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