2006 Fiscal Year Annual Research Report
統合失調症に合併する肥満症に対するアセスメントと治療ガイドラインの作成
Project/Area Number |
18790824
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Research Institution | Department of Clinical Research, National Hospital Organization Hanamaki National Hospital |
Principal Investigator |
大島 紀人 独立行政法人国立病院機構(花巻病院臨床研究部), 第一精神科医師 (70401106)
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Keywords | 統合失調症 / 肥満症 / 非定型抗精神病薬 |
Research Abstract |
統合失調症に罹患している患者の肥満合併率は一般人口より高く、高血圧、糖尿病、高脂血症といった合併症やQuality of Lifeの低下、服薬コンプライアンスの増悪といった問題をもたらす。今回の研究では肥満に関わる危険因子を統合失調症患者で統計手法を用いて明らかにし、その結果を踏まえより効率的な予防と治療的介入のモデルを作成する。 平成18年度:(1)入院患者のうちICD-10にて統合失調症(F20)と診断され研究に同意が得られた患者を対象に調査を行った。その結果、肥満群(BMI>25:9例)がQLSの時間利用、共感性で優位に高値であったのに対し、非肥満群(22>BMI:8例)ではBPRSの不安、抑うつ、幻覚の項目は非肥満群で優位に高値であることが明らかになった。(2)同様に入院患者を対象に肥満群(BMI>25)24例、正常群(22>BMI>18)19例に分類し、年齢、性別、発症年齢、診断、教育年数、遺伝歴、GAF、服薬内容等の背景因子について調査、比較を行った。結婚歴、遺伝歴、GAFは有意差はないものの、肥満群で多い傾向が見られた。また薬物療法を比較すると、肥満群で主剤に占める非定型抗精神病薬の割合は63%、平均CP換算量は897±842mgであり、併用数も1.8±1.0剤であった。これに対し、正常群では非定型薬の占める割合は47%にとどまり、1477±909mg、2.7±1.2剤と多剤併用大量投与の傾向が見られた。(3)外来患者のうちICD-10にて統合失調症(F20)と診断されたもののうち、研究に同意が得られたものを対象に予備調査を行った。対象は男性12名、女性4名(平均年齢52.3歳)で、BMIは26.6±4.0(平均±標準偏差)、GAF55.8±14.8となっており、BPRS、QLSを用いた評価を行った。来年度、栄養指導等の介入を実施する予定である。
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