2008 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者の認知リハビリテーションによる脳機能可塑性のfunctional MRI研究
Project/Area Number |
18790826
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
小坂 浩隆 University of Fukui, 医学部・附属病院, 助教 (70401966)
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Keywords | 老年精神医学 / Voxel Based Morphometry (VBM) / レプチン |
Research Abstract |
健常高齢者34名(男性19名、女性15名、64.6+/-4.7歳、MMSE 29.4+/-0.8)に、VBM解析用のMR-T1強調画像を撮像し、動物実験で神経保護効果が報告されているレプチン濃度との相関を解析した。 VBM5.1にて、T1強調画像を灰白質、白質、脳脊髄液にsegmentationし、解剖学的標準化、平滑化を行った。また、血中レプチン濃度を測定し、性、年齢、body mass index(BMI)、waist-to-hip ratio(W/H)、頭蓋腔内体積(intracranial volume, ICV)を共変数とし、各被験者の灰白質との相関する領域を探索した(false discovery rate(FDR)p<0.05、FDR-corrected)。被験者の血中レプチン濃度と脳白質病変(Fazekas分類)や認知機能検査スコア(MMSE、CANTAB)に相関はなく、脳灰白質領域の絶対値とも相関はなかった(P>0.05)。 VBMによる局所的な脳灰白質領域の結果については、右海馬、両側小脳において、血中レプチン濃度と各被験者の灰白質領域に正の相関を認めた(FDR-corrected P=0.048)。一方、負の相関を示す領域はなかった。 これらの結果は、動物実験におけるレプチン濃度と海馬領域のレプチン受容体のmRNA発現率との相関があった研究や、海馬の神経保護効果を認めた研究などの過去の報告と一致する結果である。近年では、レプチンがアルツハイマー病のAβ蓄積を防御する報告もあり、今回の結果とあわせて考察すると、高齢者においてレプチンには神経(脳灰白質)保護効果があることが示唆された。 この結果は、高齢者の認知機能を守り、認知症への発症防止に貢献できる結果と考えられ、学術論文に投稿し、受理された。
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