Research Abstract |
(1)対象は, 105例(男児81例, 女児24例, 平均年齢9.1±3.0歳)で, AD/HDが12例, PDD(AD/HD症状併存例含む)が93例であった. (2)AD/HD児にWISC-III検査(施行時平均年齢 : 9.1±3.0歳)を行ったところ, 全IQ98.6±14.5, 言語性IQ101±10.6, 動作性IQ95.2±16.2であり, この群において知的水準の低下はなかった. (3)神経心理学的評価として, Trail Making Test, Stroop Test, Word Fluency Testを行った. いずれの検査においても, 標準偏差が大きいことに加え, 本邦における標準直が明確に定められていないことから, 現段階では小児における前頭葉機能の評価指標とはなりにくいことが明らかとなった. (4)AD/HD児にPVTを用いて平均反応時間(RT)および誤返応時間(Lapse)をAD/HD児に対して行った. 平均反応時間は, 760.0±743.5秒, 平均誤反応時間は, 3.6±1.3であった. 反応時間は標準偏差が高値で児によりばらつきが非常に大きく, AD/HD児の覚醒度・注意力の指標となりにくいことが確認された. (5)AD/HD症状の評値指標としてADHD-RSを, 子どもの睡眠習慣・睡眠障害の評価尺度として, Children's Sleep Habits Questionnaire : CSHQ-Jを使用した. CSHQの総スコア, パラソムニア・睡眠呼吸障害サブスクールがAD/HD症状が強い群で有意に高値であった. AD/HD症状は, 睡眠の問題, 特に, パラソムニアや睡眠呼吸障害との関連があることが明らかとなった. (6)AD/HD群とPDD群の2群間において, 行動の問題, 睡眠障害について比較検討を行った. AD/HD群において, 子どもの行動チェックリスト(Child Behavior Check List : CKCL)外向T得点, 身体的訴え・非行的行動・攻撃的行動サブスケールおよびCSHQ'日中の眠気'サブスクールにおいて有意に高値で, AD/HDにおいてPDDより行動の問題及び睡眠の問題が多いことが明らかとなった. (7)逆に, 睡眠障害の側面から比較検討を行った. 睡眠の問題が多い群において, CBCL総T, 内向T, 外向T得点, CBCL'ひきこもり', CBCL'注意の問題', CBCL'非行的行動', CBCL'攻撃的行動'サブスケールが有意に有値で, 行動上の問題が多いことが示された.
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