2007 Fiscal Year Annual Research Report
客観的指標に基づく効率的、個別的うつ病治療戦略の構築
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18790837
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
植木 裕司 Saga University, 医学部, 助教 (40336128)
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Keywords | MHPG / 抗うつ薬モニタリング / 客観的指標 |
Research Abstract |
(1)中枢NA神経活性の末梢における指標としてNoradrenaline(NA)の最終代謝産物である 3-methoxy-4-hydroxyphenylglycol(MHPG)を精神症状評価の客観的な指標や抗うつ薬の決定に利用する。 (2)抗うつ薬の体内濃度のモニタリングを簡便で痛みを伴わず、患者様が自宅で単独でもサンプルを採取できる唾液より行い、日間、日内変動、有効投与量などの検討を行う。 が二つの大きな柱となっている。 今年度の報告: (1)うつ状態の症例の唾液中MHPG濃度を測定し、SSRIの治療反応性との関連を調べた。 対象:うつ状態の症例に対しハミルトンうつ病尺度(HDS)を施行し10点以上で研究の参加に同意した20名を対象とした。全員にparoxetineを投与し4週間後に再度唾液中HMPG濃度測定とHDSを施行した。 結果:治療前の唾液中MHPG濃度は16.9±5.7mg/mlであった。HDSの平均は19.4±7.1であった。4週間後HDS評点が50%以上改善した症例を薬物反応群、それに満たない症例を非反応群とした。薬物反応群の治療前MHPG濃度は21.3±5.8ng/mlであり非反応群の治療前MHPG濃度(13.6±6.1ng/ml)より高い傾向を示した(P=0.07)。治療後のMHPG濃度は反応群が11.9±6.0ng/mlと有意な低下が認められたが(P=0.003)、非反応群は有意な変化は認められなかった。 結論:以上の結果からSSRIに良好な反応を示した大うつ病患者では唾液中MHPG濃度が高い傾向があり、治療とともに低下することが示唆され、採取に侵襲の少ない唾液中のMHPG濃度の測定により薬物選択の指標となる可能性が示唆された。 (2)唾液中濃度を測定できる抗うつ薬を追加する準備をしている。
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Research Products
(1 results)