2008 Fiscal Year Annual Research Report
育児期の女性における不安・抑うつに関する精神医学的研究
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18790846
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
崔 炯仁 Kyoto Prefectural University of Medicine, 医学研究科, 助教 (90398397)
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Keywords | 産後うつ病 / 育児不安 / 虐待 / パーソナリティ障害 / ボンディング困難 / アンケート / 共分散構造分析 |
Research Abstract |
育児期女性の不安・抑うつに関するアンケート調査を実施し、平成19年度に得た426例の回答結果についてひきつづき解析を行った。Zung抑うつスケールの結果から中等度抑うつ以上群は14.5%であり、従来の研究結果と一致した。共分散構造分析にて産後うつと虐待行動はともにボンディング困難の影響を受けていたが、ボンディング困難が虐待行動に直接及ぼす影響を除外した条件下においては産後うつは虐待行動に影響を及ぼすとは言えなかった。この結果はこれまでの産後うつが虐待行動の危険因子であるといういくつかの報告による指摘とは異なっており、それらの報告結果がボンディング困難の見えざる影響下におけるものである可能性を示唆することができた。 これらの成果に関して、以下の関係学会にて報告発表を行った。 1) 第104回日本精神神経学会総会平成20年5月 2) 第14回世界精神医学会(XIV World Congress of Psychiatry)平成20年9月 また、これらの結果について以下の論文をPsychiatry and Clinical Neuroscience誌に投稿した。 「Factors associated with postpartum depression and abusive behavior in mothers with infants」さらに平成21年刊行予定の書籍「うつ病の診断と治療(仮題、福居顯二編)にて「女性(妊娠・産褥・更年期)」の項を執筆し、現在校正中である。 また、アンケート調査において同意を得られた380例に対して追跡調査を施行、初回調査を児の3, 4ヶ月において施行した群に対しては平成21年1月から第2回追跡調査を施行し、現在も回答を回収中である。回収次第解析、発表を行う予定である。
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