2008 Fiscal Year Annual Research Report
概日リズム障害と気分障害を包括的にとらえたゲノム医学的研究
Project/Area Number |
18790855
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
北島 剛司 Fujita Health University, 医学部, 講師 (40360234)
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Keywords | 気分障害 / 概日リズム / 時計遺伝子 / 関連解析 / 薬物反応 / 選択的セロトニン再取り込み阻害薬 |
Research Abstract |
1)当院を受診しDSM-IVで診断された151名の双極性障害患者と319名大うつ病性障害患者、340名の健常者、および2)当院を受診しDSM-IVで診断され、初診時に未治療でHamiltonうつ病評価尺度(HAM-D)スコアが12点以上の116名の大うつ病性障害患者を対象とし、倫理審査委員会の承認に基づいて説明と同意の上、遺伝子検体を得た。2)においては、Fluvoxamine(FLV)を投与後8週間後にもHAM-Dを施行し、7点以下のものを寛解・それ以外を非寛解として2群に分けた。時計遺伝子概日リズム機構の出力因子であることが近年判明し、かつ動物実験で不安・抑うつとの関連が指摘されているprokineticin 2(PK2)およびそのレセプター(PKR2)につき、HapMapデータベースから日本人におけるLDブロックを推測し、これに基づいて頻度の高い一塩基多型(SNP)をhtSNPとして選定し、Taqman法によってgenotypingを施行した。得られた遺伝子型データを用いて1)においては双極性障害群あるいは大うつ病性障害群と健常者群との間で、2)においては寛解・非寛解群との間でそれぞれアレルワイズとハプロタイプワイズ双方で関連解析を行った。PK2については双極性障害および大うつ病性障害いずれにおいても有意な関連は認められなかったが、PKR2については両疾患においてアレルワイズ・ハプロタイプワイズ双方で有意な関連が認められ、気分障害の病態への関与が示唆された。FLV反応性については両遺伝子とも有意な関連は認められなかった。なお、研究補助金は上記のサイクルシークエンス法、Taqman法、これらの基礎となるPCR法を行うための試薬などの消耗品の購入に活用された。
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