2006 Fiscal Year Annual Research Report
DNA修復に着目した造血幹/前駆細胞のサイトカイン依存性放射線防護機構の解明
Project/Area Number |
18790863
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
高橋 賢次 弘前大学, 医学部, 助手 (00400143)
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Keywords | 放射線 / 造血幹 / 前駆細胞 / サイトカイン / DNA損傷修復 / γ-H2AX |
Research Abstract |
今年度は、造血前駆細胞である臍帯血由来CD34陽性細胞からの巨核球・血小板分化誘導の際における過程において、X線と重粒子線の一つである炭素線を用いて、サイトカインによる生存効果とDNA損傷マーカーであるγ-H2AXの活性化について検討した。 各放射線からの生存率については、巨核球前駆細胞であるCFU-Megのコロニー形成によって評価した。サイトカインは、スロンボポエチン(TPO)やインターロイキン-3(IL-3)、幹細胞因子(SCF)を用いたが、X線では、TPO単独に比べ、IL-3やSCFを混合すると大幅に生存率を回復した。しかしながら、炭素線ではTPO単独とTPO+IL-3やTPO+SCFでは差が見られず、TPO+IL-3+SCFの組合せにおいてわずかに生存率を上昇させただけであった。 次にγ-H2AXについて解析を進めた。各放射線照射20分後に細胞を回収し、γ-H2AXをフローサイトメトリー法で解析した。X線では、照射群においてサイトカイン無処理に比べ、TPO+IL-3を処理すると大幅にγ-H2AXを増加させていた。しかしながら、炭素線ではその効果がなかった。 放射線による細胞死からの回復には、DNA損傷をいかに修復するかが重要であると考えられ、サイトカインによる細胞の生存効果とγ-H2AXの活性化が関与している可能性が高いことが示され、またDNAを微細に破壊してしまう炭素線ではサイトカインによるDNAの修復機構が働かないことがサイトカインによる生存効果を下げていると考えられた。 また、サイトカイン以外にもカテキンやプロテオグリカンおよびグリコサミノグリカン等が巨核球・血小板分化誘導に作用することも発見した。さらには、これら一連の成果から得られた培養技術について特許出願を行った。
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Research Products
(6 results)