2008 Fiscal Year Annual Research Report
末梢神経領域における拡散テンソルMRI及びトラクトグラフィーの基礎的検討
Project/Area Number |
18790868
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
國松 聡 The University of Tokyo, 医学部附属病院, 助教 (20323553)
|
Keywords | 放射線 / 脳・神経 |
Research Abstract |
平成20年度においては, 平成19年度の研究結果に基づき、ヒト正常ボランティアでの正中神経の拡散テンソルMRIの撮像および拡散テンソル・トラクトグラフィーの実現可能性を検討した。 研究代表者の所属機関の変更に伴い、新所属機関(東京大学)における所定の研究倫理審査手続きを終えた後、正常例での正中神経の拡散テンソルMRIの撮像を開始した。3Tの臨床用MRIにて、8ch脳・血管用受診コイルを使用、誘電パッドで手首を挟むようにし、繰り返し時間/エコー時間=5400/55.4ms、2.5mmスライス厚、マトリクス96×96(補間後256×256)、b値=1000s/mm2、加算回数4回、MPG印可軸数15軸での撮像を行った。 全例において臨床的観察に十分使用可能と思われる信号・ノイズ比を持つ、歪みの少ない、正中神経の拡散テンソル画像を取得することができた。また、正中神経の拡散テンソル・トラクトグラフィーを作成したところ、手根骨に神経が隣接する領域でのトラッキングが困難であったものの、骨から離れた領域ではトラッキングが可能であった。しかしながらトラッキング困難な領域は、手根管を含んで設定した撮像範囲の約1/2に相当しており、手根管症候群で神経浮腫などの異常の想定される領域ではトラッキングがむしろ困難であった。手根管内で正中神経が骨に隣接する領域では、骨の存在に起因する磁化率アーチファクトの他、正中神経が扁平化・細小化することが、トラッキングを困難とする要因と予想された。このような技術的問題点の克服が困難であり、当初、計画していた手根管症候群患者を対象とした拡散テンソルMRIへの応用には、研究期間内に到達することができなかった。
|