2006 Fiscal Year Annual Research Report
生体内水分子の拡散に基づいた細胞膜機能のイメージングに関する研究
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18790878
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
今江 禄一 東京大学, 医学部附属病院, 診療放射線技師 (80420222)
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Keywords | MRI / 拡散 / 生体内水分子 / 細胞膜機能 / 可視化 / 有限差分法 / 制限拡散 / 非侵襲 |
Research Abstract |
拡散MRI(diffusion magnetic resonance imaging)は非侵襲的に生体内水分子の拡散情報を得ることが可能である.生体内水分子の拡散は細胞膜や微小構造に影響を受けた制限拡散であり,拡散MRIにより得られる信号強度は水分子の周辺環境を反映した信号値を示す.得られた信号を理論的に予測された信号と比較・解析を行うことにより拡散障壁の形状や透過率といった物理量が得られることが期待される.本研究の目的は非侵襲的に得た生体内水分子の拡散MRI信号から細胞膜透過率を得る手法を開発し,細胞膜透過率のイメージングを行うことである.細胞膜透過率は虚血や浮腫などの細胞環境を鋭敏に反映すると考えられ,膜透過率の画像化は新しい画像診断技術となりうる. 平成18年度では,細胞膜透過率を推定するために必要な数値解析の最適条件を求めた.先行研究では,単純な形状での拡散検川傾斜磁場(motion-probing gradient : MPG)と検出される信号値との関係は理論的に求められている.しかし,生体内の細胞組織は複雑な形状を有しているため,細胞膜透過率などを推定するには有限差分法といった数値解析が必要である.有限差分法は偏微分方程式である磁化拡散方程式を空間間隔Δxと時間間隔Δtを用いて離散化するが,離散化の際には離散化誤差が生じる.MPGによる位相変化を考慮した磁化拡散方程式から厳密解と離散解(数値解)を求め,さらに同磁化の初期条件のもと厳密解と離散解との信号値の誤差が最小となる空間間隔Δxと時間間隔Δtとをそれぞれ求めることによって,数値解析の適切な設定条件を示した.
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