2006 Fiscal Year Annual Research Report
非平衡型複数α線放出インビボジェネレーターを利用した転移性骨腫瘍治療法の開発
Project/Area Number |
18790881
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
鷲山 幸信 金沢大学, 医学系研究科, 助手 (80313675)
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Keywords | α放射体 / In vivo generator / ^<227>Th / ^<223>Ra / 最大耐用線量 / 転移性骨腫瘍 |
Research Abstract |
塩化ラジウム-223(^<223>RaCl_2)(T_<1/2>=11.435d)は骨親和性を有し骨内部で多段階的且つ連続的にα壊変をもたらすため、転移性骨腫瘍の治療に有効な内用放射性薬剤として臨床的検討が行なわれている。^<223>Raの親核種である^<227>Th(T_<l/2>=18.72d)は^<223>Raと同様の多段階α壊変放射性核種である。我々は転移性骨腫瘍における有用放射性核種として注目し、骨集積性検討の結果^<227>Th-EDTMPを有用キレート薬剤として提案した。この新しいキレート薬剤の内用放射線治療への適用性の評価には^<227>Th,^<223>Ra両核種及びその娘核種による骨髄毒性の検討が必須であるため、本研究では^<227>Th-EDTMPと^<223>RaCl_2をラットに投与し体重と血球数を測定することにより間接的に両核種とその娘核種による骨髄毒性を評価した。 Sprague-Dowley系7週齢雌ラットに^<227>Th-EDTMPと^<223>RaCl_2を一匹ずつに投与放射能量を変化させて(最大8M Bq/kg体重〜最小8k Bq/kg体重)尾静脈から投与し、投与当日を0日として8週間以上経時的に体重及び尾静脈から採血した末梢血中の赤血球,白血球,血小板数を計測した。 高放射能の^<223>RaCl_2(8MBq/kg)や^<227>Th-EDTMP(2MBq/kg以上)を投与したラットでは急性放射線障害が現れた。急性障害により数日で重篤な症状を示したラット(8MBq/kg)の体重は両核種とも同様の減少傾向をみせているが、^<227>Th-EDTMP投与ラットでは2週目からさらに2匹のラット(4MBq/kg,2MBq/kg)の体重が減少し3〜4週目に重篤な状態になった。^<223>RaCl_2投与ラットの赤血球,白血球,血小板数は減少後早い段階で回復したのに対し、^<227>Th-EDTMP投与ラットでは減少したままの状態が^<223>RaCl_2投与ラットに比較して長期間続き回復が遅かった。これは^<227>Thに由来する放射能の成長と減衰によるものと考えられる。また、^<227>Thや^<223>Raが壊変する際の全放出エネルギーに対するβ線のエネルギー寄与は小さいため、本結果では飛程の長いβ線によって骨髄毒性が現れたとは考えにくく、短飛程のα線でも骨髄に影響を及ぼすと考えられる。 本結果を基に、転移性骨腫瘍モデルを用いた治療実験では、^<227>Th-EDTMPの放射能濃度を血球数減少が重篤ではない範囲である250kBq/kgとすることが示唆された。
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Research Products
(3 results)