2006 Fiscal Year Annual Research Report
マクロファージの低酸素腫瘍移行性を利用した放射線増感剤・p53再活性化剤の開発
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18790892
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
宇都 義浩 徳島大学, 大学院・ソシオテクノサイエンス研究部, 助教授 (20304553)
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Keywords | 低酸素細胞放射線増感剤 / マクロファージ / 分子軌道 / 疎水性 |
Research Abstract |
平成18年度の計画は「マクロファージ結合性低酸素細胞放射線増感剤の分子設計・合成」である.そこでまず,低酸素細胞放射線増感剤TX-1877とマクロファージ結合性糖鎖N-アセチルガラクトサミンを1位でグリコシド結合させたTX-2068を分子設計した.分子軌道計算ソフトGaussian03を用いた解析の結果,2-ニトロイミダゾール基にLUMOが,N-アセチルガラクトサミンの2位のN-アセチル基にHOMOが局在しており,また,-LUMO値(=EA,電子親和性)もTX-1877と同等の値であったことから,TX-2068はTX-1877と同程度の低酸素細胞放射線増感活性を有していることが示唆された.また,マクロファージ結合性糖構造を比較するために,グルコサミン・ガラクトサミン・マンノサミンとTX-1877を結合させたTX-2141,2218,2217も分子設計し,分子軌道計算より2-ニトロイミダゾール基にLUMOが局在していることを確認した.次に,これら分子の合成について,ペンタアセチル化糖を用いてニトロメタン中,三フッ化ジエチルエーテル錯体によるTX-1877のグリコシル化し,次いでアルカリ処理にて脱アセチル化して最終目的物をグラムスケールで得た.各化合物の総収率は10%程度であった.グリコシル化の際の立体選択性については,マンノースのみがα選択的で残り3種はすべてβ選択的であった.TX-2068の疎水性パラメータlogPを水-オクタノール分配係数より求めたところ,P=0.001とTX-1877(P=0.056)と比較してかなり高い水溶性を示すことが分かった.残りの3化合物もClogPの値から高い水溶性を有することが示唆された.以上より,平成18年度の目的である「マクロファージ結合性低酸素細胞放射線増感剤の分子設計・合成」が達成された.
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Research Products
(5 results)