2007 Fiscal Year Annual Research Report
放射光によるX線暗視野法の関節リウマチ早期画像診断への応用
Project/Area Number |
18790900
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Research Institution | Ibaraki Prefectural University of Health Science |
Principal Investigator |
島雄 大介 Ibaraki Prefectural University of Health Science, 保健医療学部, 助教 (20404907)
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Keywords | 放射光 / イメージング / 関節リウマチ / X線光学系 / トモシンセシス |
Research Abstract |
Photon Factory BL14Bに「厚さ可変型アナライザー」を利用したX線暗視野法用光学系を立上げ,各種アナライザー厚による手指関節のX線暗視野像の描写能を調べた。新たに1.5mm厚と1.8mm厚程度のシリコンウエハの試験をする予定であったが,利用する回折面、X線エネルギーの違いにより当アナライザーの安定性・得られる画質に違いが見られたため,昨年度に製作した0.38mmと1.07mm厚のシリコンウエハを用い,(220)と(440)回折面を利用した場合を評価した。 0.38mm厚では,36 keV程度の高エネルギーX線や(440)回折面を利用すると回折曲線の幅が狭くなり,重力によるウエハの歪みが無視出来ず動作が不安定となった。この厚さでは17 keV程度の低エネルギーX線による(220)回折面でのみ実用可能であった。撮影線量の低減を考えると高エネルギーX線が必須で,36 keVのX線では1.07mm厚のもので(220)、(440)回折面ともに動作が良好であった。このとき,(440)回折面の場合は高解像度の関節軟骨像が得られるが縞状の虚像を伴った。(220)回折面では解像度の低下はあったが縞状の虚像は消失した。さらにX線暗視野像では関節軟骨の輪郭が得られ,アナライザーに微小のオフセット角を与えると関節軟骨実質が描写された。今画用いたピクモルサイズ20μm×20μmのX線CCDカメラでは500μm厚程度の人体の指関節の関節軟骨の描写が十分可能であったが,フィルム/スクリーン系に比べ感度が3分の1程度に低下することが明らかとなった。さらに,トモシンセシスの原理を利用すればX線暗視野像の断層像が得られることが判明し,これを追加実験として行った。 本研究課題により,関節リウマチの早期画像診断に有用な関節軟骨の投影像・断層像を得るシステムを構築することができた。
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