2007 Fiscal Year Annual Research Report
血管内皮カドヘリンを介したタイトジャンクション制御によるナノDDSの創製
Project/Area Number |
18790920
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
米虫 敦 Kansai Medical University, 医学部, 助教 (80360254)
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Keywords | IVR / DDS / ナノバイオ / 癌 / 薬学 / 医学 / 放射線科学 / 内皮細胞 |
Research Abstract |
我が国での部位別の癌死亡順位(国民衛生の動向2003年度版)では、肝臓癌は男性で第3位、女性で第5位となっており死因統計分類上、重要な地位を占めている。現在、我が国では経動脈的なカテーテル挿入による動脈内抗腫瘍剤注入療法および動脈塞栓術は日常的に施行されており、本疾患に対する治療戦略に於いて重要な役割を占めているが、その治療効果は限定的で頻回の再治療を前提としたものであり、その患者の負担は無視できないものであった。 凝血剤として知られるトロンビンには、血管内皮細胞同士の結合タンパクである血管内皮カドヘリン(VE-Cadherin)を抑制する事によって内皮細胞間のタイトジャンクションを急速に15〜20nm開大させ、血管透過性を著しく亢進させる作用がある事が注目されはじめた。本作用を各種のドラッグデリバリーシステムに応用する研究が行われており、申請者は本作用を肝臓悪性腫瘍の経カテーテル的な血管内治療に応用し新たなドラッグデリバリーシステムの開発に着手した。 本提案で、経カテーテル的な肝動注化学塞栓療法に使用する薬剤としてトロンビンと抗腫瘍薬の混合物を使用する。血管透過性亢進作用による抗腫瘍薬の高濃度暴露による濃度依存性効果増強と、自己凝血塊に含有された抗腫瘍薬の徐放効果による暴露時間延長による時間依存性効果増強を肝動脈塞栓術に応用する。 昨年度には、ブタ動脈内にトロンビンを投与し、その塞栓形成状況を放射線科学的に検討した。トロンビン濃度と塞栓形成状況を対比し、その有用性を明らかにした。この結果をふまえて、本年度には家兎を用いて組織内薬物濃度の変化を検討する実験についての調査/準備を行い、実験の最終調整を行っている。
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