2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18790921
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
小島 博之 Kansai Medical University, 医学部, 助教 (30368229)
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Keywords | 肺瘻修復剤 / 生体吸収性高分子化合物 |
Research Abstract |
平成20年度の研究目的は、動物肺を用いてPVAを針穿刺部位に注入し、注入直後の肺瘻閉鎖能と2ヵ月間の観察間における生体吸収性及び異物性について評価することである。方法は、高周波プローベ焼灼により作成した肺瘻にPVA試料1ccを注入後、ポリエチレン糸で縫合閉鎖し閉胸した。2か月後に犠牲死させ、肺を摘出し、PVA試料注入部局所の組織反応を病理学的に検討した。PVAの局所への残留はHE染色で評価し、凝血塊の局3は鉄染色で評価した。また、白血球共通抗原とCD68抗体による免疫組織学的染色を行い、炎症関連細胞の有無を評価した。アセトアセチル化度8.9mol%のPVA試料注入後2ヵ月のHE染色において、PVA粒子は局所には同定されず、鉄染色において、異常な鉄染色陽性の沈着物がみられた。これはヘモジデリン顆粒と考えられ、創傷治癒2ヵ月後で通常は認められず、鉄とキレート形成したPVAが、細胞成分との接触を一定期間阻害して、器質化反応を遅延させたものと推察された。また、アセトアセチル化度の低いPVA試料では、PVA粒子は同定されず、ヘモジデリン顆粒の沈着は軽度であった。前出の2種類のPVA注入部の連続切片において、白血球共通抗原およびCD68抗体はともに陰性であり、明らかな異物反応は認められなかった。しかしながら、生体吸収性については、PVAが分解されたのか、wash-outされたのかは不明であり、異物性においても、白血球、マクロファージ関連以外の異物反応については不明である。以上より、生体吸収性高分子化合物であるPVAは、経皮的針生検時の肺瘻修復剤として期待可能であると考えられた。
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