2008 Fiscal Year Annual Research Report
乳癌における核内受容体SXRの意義と新たな治療法の開発
Project/Area Number |
18790928
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
六反田 奈和 Gunma University, 医学部, 助教 (50420097)
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Keywords | 癌 / 蛋白質 / 遺伝子 / RNA / 外科 |
Research Abstract |
【背景と目的】ERは他の核内受容体と相互作用があり, 転写活性が修飾される. SXRはTypeII核内ホルモン受容体に属し, 薬物やホルモン代謝に重要なCYP3A4などの転写を調節する. SXRは主に肝臓や小腸に発現するが, 近年乳癌組織にも発現することが報告された. そこで, 乳癌細胞におけるERを介する転写におけるSXRの修飾作用を解析した。【方法と結果】エストロゲン応答配列(ERE)及びSXRをMCF-7乳癌細胞に遺伝子導入しレポーターアッセイを行うと, E2による転写活性はSXRにより用量依存性に増強された. このSXRによるEREを介した転写活性の増強の機序を解析した. Mammalian two hybrid assay(MTH)、Electropholetic mobility shift assay(EMSA)を用いてSXRはin vitroではERやEREとは直接結合しないことを確認した。そこでSXRが転写共役因子とERの結合を変化させる可能性を考え、MTH, GST-pull down assay、immunoprecipitation、確認した。一方コリプレッサーsilencing mediator for retimoid and thyroid receptors(SMRT)を検討すると、ERとSMRTの結合がSXRの用量依存的に解離した。【まとめ】SXRとSMRTが結合しERからSMRTが解離することによりERの転写が増強されたと考えられた. したがって, SXRの発現そのものがエストロゲン作用増強をきたすと推測される. また,我々は近年乳癌細胞においてタモキシフェンによりCYP3A4遺伝子の転写活性が促進され, そのことがタモキシフェン代謝促進を介してタモキシフェン耐性に関与する可能性があることを報告した. 今回の報告とあわせて, 乳癌細胞におけるSXR発現の有無がER陽性乳癌治療法の選択及び治療効果の推測に有用である可能性が示唆された.
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