2006 Fiscal Year Annual Research Report
短時間の過酸化水素刺激による骨髄細胞の機能増強とそれに基づく血管新生療法の開発
Project/Area Number |
18790936
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
久保 正幸 山口大学, 大学院・医学系研究科, 非常勤講師 (60420519)
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Keywords | 血管新生 / 骨髄細胞 / 再生医学 / 過酸化水素 / 活性酸素 |
Research Abstract |
自己骨髄細胞移植による血管新生治療は虚血性疾患に対する有望な治療法であるが,十分な細胞数の確保は容易ではない.一方,活性酸素である過酸化水素(H_20_2)が血管内皮増殖因子(VEGF)産生の増大や血管新生の過程に寄与するといった報告がある.本研究では,低濃度のH_20_2による短時間刺激によって骨髄細胞の血管新生能が増強するという仮説を立て,この仮説を明らかにすることを目的とした. 本年度は,ex vivoで短時間H_20_2刺激することで骨髄細胞の機能増強が起こるか否かについて検討した.C57BL/6マウスの大腿骨から骨髄を採取し,比重遠心法にて単核球画分を分離した.単離した骨髄細胞をH_20_2で30分間刺激し,PBS洗浄後,以下の実験に用いた. H_20_2刺激を行わない骨髄細胞を対照群とした.至適なH_20_2刺激濃度を検討するために,24時間培養後のVEGFとVEGFレセプター2(Flk-1)のmRNA発現量をRT-PCR法にて解析した.低濃度のH_20_2刺激に応答したmRNA発現最の上昇が認められ,その上昇は5 μMの濃度で最も顕著であった(Pく0.01).また,対照群と比較して,5μMH_20_2で刺激した骨髄細胞では培養後の生存率も有意に高かった(P<0.01).以上より,至適なH_20_2刺激濃度を5μMと決定し,さらなる検討を行った.対照群と比較して,H_20_2刺激した骨髄細胞の培養上清(24時間後)中のVEGF量は有意に増加していた (P<0.001).さらに,Flk-1 (培養24時間後)およびVE-cadherin(培養7日後)抗体による免疫染色を行うとその陽性細胞率も有意に高く (P<0.05),内皮分化能の増強が示唆された.以上の結果より,低濃度(5pM)のH_20_2で短時間(30分)刺激することによって,骨髄細胞の血管新生能が増強することが示された.
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